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令和5年版 犯罪白書 第4編/第6章/第3節/1

1 ストーカー犯罪

ストーカー規制法は、ストーカー行為(同一の者に対し、恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、恋愛感情等の対象者又はその配偶者等に対し、同法に規定された「つきまとい等」又は「位置情報無承諾取得等」を反復してすること)を処罰するなどストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めている。

警察署長等は、申出を受けた場合に、つきまとい等をして相手方に不安を覚えさせる行為があり、かつ、更に反復のおそれがあると認めるときには、当該行為をした者に対し、更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができる。また、平成28年法律第102号による改正により、急に加害者の行為が激化して重大事件に発展するおそれがあるなどのストーカー事案の特徴を踏まえて、都道府県公安委員会は、警告の存在を要件とせずに禁止命令等をすることなどが可能となった(警告前置の廃止及び緊急禁止命令等。平成29年6月施行)。同改正では、住居等の付近をみだりにうろつく行為、拒まれたにもかかわらず連続してSNSを利用してメッセージを送信する行為、ブログ等の個人ページにコメント等を書き込む行為等が「つきまとい等」に追加されるとともに、ストーカー行為罪の非親告罪化、ストーカー行為罪等についての法定刑の引上げがなされた(同年1月施行)。

令和3年法律第45号による改正では、相手方が現に所在する場所の付近における見張り等や拒まれたにもかかわらず連続して文書を送付する行為が「つきまとい等」に追加される(令和3年6月施行)とともに、相手方の承諾なく、その所持する位置情報記録・送信装置(GPS機器等)に係る位置情報を取得する行為及び相手方の承諾なく、その所持する物にGPS機器等を取り付けるなどの行為が「位置情報無承諾取得等」として規制対象行為に加えられるなどした(同年8月施行)。

ストーカー規制法による警告等の件数の推移(最近20年間)は、4-6-3-1図のとおりである。警告の件数は、平成30年から2,000件台で推移していたが、令和4年は1,868件(前年比9.1%減)であった。禁止命令等の件数は、前記平成28年法律第102号が施行されたことにより、平成29年から急増し、令和4年は1,744件(同4.4%増。うち緊急禁止命令等は946件)であった。なお、前記令和3年法律第45号による改正により新たに規制対象に加えられた行為への警告等の4年における件数は、相手方が現に所在する場所の付近における見張り等や拒まれたにもかかわらず連続して文書を送付する行為については、警告が62件、禁止命令等が69件、位置情報無承諾取得等の行為については、警告が12件、禁止命令等が21件であった(警察庁生活安全局の資料による。)。

4-6-3-1図 ストーカー規制法による警告等の件数の推移
4-6-3-1図 ストーカー規制法による警告等の件数の推移
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ストーカー規制法違反として、ストーカー行為又は禁止命令等違反行為が処罰対象であるほか、ストーカー行為をしている者による行為が殺人、傷害等の刑法その他の法律上の犯罪に該当する場合は、それらによっても処罰されることになる。ストーカー事案の検挙件数の推移(資料を入手し得た平成16年以降)を罪名別に見ると、4-6-3-2図のとおりである。

ストーカー規制法違反の検挙件数は、平成24年から著しく増加し、30年以降は860~980件台で推移していたが、令和4年は1,028件(前年比9.7%増)で、著しく増加した平成24年の前年である23年と比べると約5.0倍であった。また、他法令による検挙件数の総数も、24年に著しく増加し、同年以降は1,490~1,910件台で推移しており、令和4年は1,650件(同4.4%増)で、同様に平成23年と比べると約2.1倍であった。

4-6-3-2図 ストーカー事案の検挙件数の推移(罪名別)
4-6-3-2図 ストーカー事案の検挙件数の推移(罪名別)
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なお、令和4年におけるストーカー事案に関する相談等件数(ストーカー規制法その他の刑罰法令に抵触しないものも含む。)は、1万9,131件(前年比3.0%減)であり、被害者と加害者の関係別に見ると、交際相手(元交際相手を含む。)が7,115件(37.2%)と最も多く、次いで、勤務先同僚・職場関係2,532件(13.2%)、知人・友人2,420件(12.6%)、面識なし1,804件(9.4%)、関係(行為者)不明1,767件(9.2%)、配偶者(内縁・元配偶者を含む。)1,345件(7.0%)の順であった(警察庁生活安全局の資料による。)。