法務省は、厚生労働省と連携して、高齢又は障害を有し、かつ、適当な帰住先がない受刑者及び少年院在院者について、釈放後速やかに、適切な介護、医療、年金等の福祉サービスを受けることができるようにするための取組として、矯正施設と保護観察所において特別調整を実施している(概要については、本編第5章第2節2項参照)。この取組では、福祉関係機関等との効果的な連携が求められるところ、その中心となるのは、厚生労働省の地域生活定着促進事業により整備が進められ、各都道府県が設置した地域生活定着支援センターであり、この取組によって司法と福祉との多機関連携による支援が行われている。
刑事施設においては、特別調整を始めとする福祉的支援を必要とする者に対応するため、社会福祉士又は精神保健福祉士の資格を有する非常勤職員を配置しているほか、福祉専門官(社会福祉士、精神保健福祉士又は介護福祉士の資格を有する常勤職員)を配置している。令和5年度の社会福祉士の配置施設数は67庁、精神保健福祉士の配置施設数は8庁、福祉専門官の配置施設数は58庁(刑務支所を含む。)である。また、認知能力や身体機能の低下した高齢受刑者等に対し、専門的な知識・経験を有する者が介助を行うため、介護福祉士及び介護専門スタッフ(介護職員実務者研修又は介護職員初任者研修の修了者等)を配置している。同年度の配置施設数は、介護福祉士が8庁、介護専門スタッフが40庁であった(法務省矯正局の資料による。)。
さらに、女性の受刑者を収容する刑事施設における医療・福祉等の問題に対処するため、これらの施設が所在する地域の医療・福祉等の各種団体の協力を得て、女子施設地域連携事業を行っている(第4編第7章第2節2項(1)イ参照)。