法務省は、受刑者等の出所時の就労の確保に向けて、厚生労働省と連携し、刑務所出所者等総合的就労支援対策を実施している。この施策は、刑事施設、少年院、保護観察所及びハローワークが連携する仕組みを構築した上で、支援対象者の希望や適性等に応じ、計画的に就労支援を行うものであるが、その一環として、刑事施設では、支援対象者に対し、ハローワークの職員による職業相談、職業紹介、職業講話等を実施している(保護観察所における就労支援については、本編第5章第3節2項(9)参照)。
また、刑務所出所者等の採用を希望する事業者が、矯正施設を指定した上でハローワークに求人票を提出することができる「受刑者等専用求人」が運用されており、事業者と就職を希望する受刑者とのマッチングの促進に努めている。
さらに、受刑者等の就労先を在所中に確保し、出所後速やかに就労に結び付けるため、全国8か所の全ての矯正管区に設置されている矯正就労支援情報センター室(通称「コレワーク」)が、受刑者等の帰住地や取得資格等の情報を一括管理し、出所者等の雇用を希望する企業の相談に対応して、企業のニーズに適合する者を収容する施設の情報を提供する(雇用情報提供サービス)などして、広域的な就労支援等に取り組んでいる。また、刑務所出所者等の雇用経験が豊富な事業主等を刑務所出所者等雇用支援アドバイザーとして招へいし、刑務所出所者等の雇用前後における事業主の不安や疑問等の相談に応じられる体制を整備するとともに、同アドバイザーによる事業主への相談会を実施(令和4年度は11回実施し、延べ53人参加)したほか、事業主等に対する就労支援セミナーを開催(同年度は27回開催し、延べ326人参加)した。
このほか、日本財団及び関西の企業7社が発足させた日本財団職親プロジェクトは、少年院出院者や刑務所出所者に就労先・住まいを提供することで、円滑な社会復帰を支援するとともに、再犯者率の低下の実現を目指しており、令和5年5月末現在で、306社が参加している(日本財団の資料による。)。
なお、刑事施設及び少年院においては、就労支援体制の充実のため、キャリアコンサルティング等の専門性を有する非常勤職員である就労支援スタッフを配置しているほか、キャリアコンサルタント等の資格を有する常勤職員である就労支援専門官を配置している。令和5年度の刑事施設における就労支援スタッフの配置施設数は75庁(刑務支所を含む。)、就労支援専門官の配置施設数は32庁(刑務支所を含む。)である。