人々が犯罪・非行に走る原因に対する意識を犯罪類型別に見ると、8-4-3-11図のとおりである。対象者全体では、「自分自身」(78.7%)の構成比が最も高く、次いで、「友達・仲間」(11.2%)、「家族(親)」(5.2%)、「その他」(4.8%)の順であった。犯罪類型別では、「自分自身」とした者の構成比は、窃盗事犯類型(83.9%)が最も高く、次いで、詐欺事犯類型(82.3%)、重大事犯類型(82.0%)の順であり、粗暴犯類型(68.9%)が最も低かった。「友達・仲間」とした者の構成比は、交通事犯類型(23.4%)が最も高く、次いで、薬物事犯類型(16.8%)、詐欺事犯類型(11.5%)の順であり、窃盗事犯類型(7.0%)が最も低かった。「家族(親)」とした者の構成比は、粗暴犯類型(8.9%)が最も高く、次いで、窃盗事犯類型(5.7%)、性犯類型(5.6%)の順であり、交通事犯類型では該当者はいなかった。
なお、「その他」とした者の具体的な記述を見ると、犯罪類型にかかわらず、「育ってきた環境」や「社会の仕組み」など環境や社会を原因として挙げる者や、「全て当てはまると思う」など「自分自身」、「家族(親)」及び「友達・仲間」の全てを原因として挙げる者が多かった一方、窃盗事犯類型及び薬物事犯類型では、「ストレス」、「欲求」、「快楽」などの人々の心理的要因に関する内容に原因があるとする認識を有している者もいた。
対象者のうち、保護処分歴又は罰金以上の刑事処分歴を有すると回答した者について、自らが再犯・再非行に及んだ要因に関する項目の該当率を犯罪類型別に見ると、8-4-3-12図のとおりである。重大事犯類型、粗暴犯類型、窃盗事犯類型、薬物事犯類型及び交通事犯類型は、いずれも「自分の感情や考え方をうまくコントロールできなかったこと」(それぞれ54.5%、56.8%、50.7%、47.0%、47.2%)が最も高く、次いで、「自分が非行や犯罪をする原因が分かっていたが、対処できなかったこと」(それぞれ36.4%、32.4%、44.4%、43.3%、38.9%)の順であった。詐欺事犯類型は、「自分が非行や犯罪をする原因が分かっていたが、対処できなかったこと」(43.3%)が最も高く、次いで、「自分の感情や考え方をうまくコントロールできなかったこと」(40.0%)の順であり、性犯類型は、「自分の感情や考え方をうまくコントロールできなかったこと」(55.0%)が最も高く、次いで、「困ったときの相談相手や援助してくれる人が周りにいなかったこと」及び「自分が落ち着いて生活できる場所がなかったこと」(それぞれ30.0%)の順であった。また、詐欺事犯類型は「処分を軽く考えていたこと」及び「問題にぶつかるともうだめだとあきらめたりしていたこと」(それぞれ33.3%)、薬物事犯類型は「非行や犯罪をする仲間との関係が続いたこと」(38.7%)、交通事犯類型は「処分を軽く考えていたこと」(36.1%)が、それぞれ3番目に高かった(総数及び総数における各項目の該当率については、CD-ROM参照)。
法律で禁じられているような「悪い」ことをしようと思ったときに、それを思いとどまらせる心のブレーキとなるものを犯罪類型別に見ると、8-4-3-13図のとおりである。対象者全体では、「父母のこと」(20.0%)の構成比が最も高く、次いで、「子のこと」(17.4%)、「配偶者のこと」(13.5%)の順であった。犯罪類型別では、重大事犯類型は、「父母のこと」及び「兄弟姉妹を含めた家族のこと」(それぞれ21.7%)が最も高く、次いで、「子のこと」(15.2%)、「警察につかまること」(10.9%)の順であった。粗暴犯類型は、「子のこと」及び「社会からの信頼を失うこと」(それぞれ25.0%)が最も高く、次いで、「父母のこと」(17.9%)、「配偶者のこと」及び「特に心のブレーキになるものはない」(それぞれ10.7%)の順であった。窃盗事犯類型は、「父母のこと」(19.6%)が最も高く、次いで、「子のこと」(14.5%)、「社会からの信頼を失うこと」(13.6%)の順であった。詐欺事犯類型は、「父母のこと」(29.0%)が最も高く、次いで、「子のこと」(21.0%)、「兄弟姉妹を含めた家族のこと」(12.9%)の順であった。性犯類型は、「父母のこと」(32.0%)が最も高く、「兄弟姉妹を含めた家族のこと」(20.0%)、「子のこと」(16.0%)の順であった。薬物事犯類型は、「配偶者のこと」(21.4%)が最も高く、次いで、「子のこと」(20.8%)、「父母のこと」(16.2%)の順であった。交通事犯類型は、「子のこと」(30.3%)が最も高く、次いで、「配偶者のこと」(27.3%)、「社会からの信頼を失うこと」(12.1%)の順であった。
これからの生活で大切なものに関する項目の該当率を犯罪類型別に見ると、8-4-3-14図のとおりである。全ての犯罪類型において、「規則正しい生活をおくる」が最も高かった。次いで高い項目は、薬物事犯類型では、「悪い友達や先輩とはつき合わない」(59.4%)であり、それ以外の犯罪類型では、「お金のむだ使いをしない」であった(総数及び総数における該当率を含め、CD-ROM参照)。