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令和4年版 犯罪白書 第7編/第5章/第2節/1

第2節 刑事司法の各段階における新型コロナウイルス感染症の影響・対策
1 検察

検察庁新規受理人員総数は、初めて緊急事態宣言が発出された令和2年4月及び5月に大きく減少し(前年同月比18.3%減、同16.4%減)、特に在宅事件の多い過失運転致死傷等において、その減少が顕著である(同26.1%減、同28.3%減)。これは司法警察員からの送致件数が減少したことによるものであり、その一因として、新型コロナウイルス感染症感染拡大下における刑法犯の認知件数の減少や過失運転致死傷等の検挙件数の減少等に伴う在宅事件送致件数の減少等が考えられる。検察庁終局処理人員総数についても、2年4月及び5月に大きく減少しているところ(同25.9%減、同33.8%減)、処理区分別に見ると、両月共に略式命令請求の減少が顕著であり(同48.8%減、同60.6%減)、感染防止の観点から、優先順位を付けて事件処理をせざるを得なかった状況がうかがえる。他方で、2年6月は、検察庁終局処理人員総数が前年同月比1.5%増と増加し、中でも公判請求(同14.8%増)、略式命令請求(同20.0%増)、その他不起訴(同34.7%増)が顕著に増加しており、検察庁において、感染防止策を採りながら、できる限り多くの事件処理に努めた状況がうかがえる。

検察庁においては、収容の場面における特別な班編制等、通常とは異なった対応を迫られ、業務の遂行に大きな影響を受けたものの、様々な対応策を採ったことにより、業務の継続が実現された。