法テラス(第2編第1章2項参照)は、被害者等に対する支援業務を行っている。その業務内容は、コールセンター及び各地方事務所を通じて、刑事手続への適切な関与、損害の回復や苦痛の軽減を図るための制度に関する情報提供を行うほか、被害者等の支援を行っている機関・団体の支援内容や相談窓口を案内し、被害者等の支援について経験や理解のある弁護士の紹介等を行うものである。また、法テラスは、被害者参加制度が開始されてからは、被害者参加人が法テラスを経由して裁判所に国選被害者参加弁護士の選定請求をするに当たり、法テラスと契約している弁護士を国選被害者参加弁護士の候補に指名して裁判所に通知するなどの業務も行っている。
法テラスにおける被害者等に対する支援の実施状況の推移(最近10年間)については、6-2-1-5図のとおりであり、令和3年度における犯罪被害者支援ダイヤルでの受電件数は1万5,908件(前年比1,599件増)、地方事務所での犯罪被害・刑事手続等の問合せ件数は1万2,108件(同1,340件増)であり、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士を紹介した件数は1,181件(同71件減)であった。また、3年度の被害者参加人からの国選被害者参加弁護士選定請求件数は、661件(請求人員延べ789人)であり、罪名別にその件数を見ると、強制性交等・強制わいせつ等390件(59.0%)、傷害99件(15.0%)、殺人(自殺関与・同意殺人を含まない。)61件(9.2%)、過失運転致死傷等54件(8.2%)であった(法テラスの資料による。)。
また、平成28年法律第53号による総合法律支援法(平成16年法律第74号)の改正により、平成30年1月から、法テラスにおいて、ストーカー規制法上の「つきまとい等」、児童虐待防止法上の「児童虐待」及び配偶者暴力防止法上の「配偶者からの暴力」の被害者に対し、必要な法律相談を実施することを内容とする「DV等被害者法律相談援助」が実施されている(児童虐待・配偶者からの暴力・ストーカー等に係る犯罪については、第4編第6章参照)。なお、法テラスにおいては、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、地方事務所における面談による法律相談の実施が困難な状況が生じたことから、それを解消すべく、令和2年5月、DV等被害者法律相談援助等につき、面談による法律相談の代替として電話等による法律相談援助を開始し、各地方事務所の実情に応じた運用がなされた。3年度におけるDV等被害者法律相談援助の実施件数は972件(前年比11件減)であり、そのうち99件は電話等による法律相談援助によるものであった(法テラスの資料による。)。