この項では、少年院出院者の再入院又は刑事施設への入所の状況について概観する。ここで、再入院率とは、各年の少年院出院者人員のうち、一定の期間内に、新たな少年院送致の決定により再入院した者の人員の比率をいい、再入院・刑事施設入所率とは、各年の少年院出院者人員のうち、一定の期間内に、新たな少年院送致の決定により再入院した者と初入者として刑事施設に入所した者の合計人員の比率をいう(以下この項において同じ。)。例えば、2年以内再入院・刑事施設入所率とは、各年の少年院出院者人員のうち、出院年を1年目として、2年目、すなわち翌年の年末までに再入院した者又は初入者として刑事施設に入所した者の人員の比率をいい、このうち再入院した者に限ったものを2年以内再入院率という。なお、同一の出院者について、出院後、複数回再入院した場合又は再入院した後に刑事施設への入所がある場合には、その最初の再入院を計上している。
5-2-5-3図は、平成29年の少年院出院者について、令和3年までの各年における再入院率及び再入院・刑事施設入所率を見たものである。再入院率は、2年以内では9.9%、5年以内では13.7%であり、5年以内に再入院した者のうち、約7割の者が2年以内に再入院している(CD-ROM参照)。もっとも、一定の期間が経過した後の再入院率に関しては、出院後の期間の経過に伴い、20歳に達する者が多くなり、そのような者が再犯(再非行)に及んだとしても、通常は保護処分ではなく、刑事処分の対象となるため、再入院には至らないことがある点に留意する必要がある。そこで、再入院・刑事施設入所率を見ると、2年以内では10.8%であるが、その後も上昇しており、5年以内では21.7%であった。
5-2-5-4図<1>は、平成13年から令和2年の各年の少年院出院者について、2年以内の再入院率及び再入院・刑事施設入所率の推移を見たものである。再入院率は9~12%台で、再入院・刑事施設入所率は9~14%台でそれぞれ推移している。なお、2年の少年院出院者について、2年以内の再入院率及び再入院・刑事施設入所率を男女別に見ると、それぞれ、男子が10.6%、11.4%、女子が6.1%、6.1%であった(矯正統計年報及び法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
5-2-5-4図<2>は、平成10年から29年の各年の少年院出院者について、5年以内の再入院率及び再入院・刑事施設入所率の推移を見たものである。再入院率は13~17%台で、再入院・刑事施設入所率は21~24%台でそれぞれ推移している。なお、29年の少年院出院者について、5年以内の再入院率及び再入院・刑事施設入所率を男女別に見ると、それぞれ、男子が15.8%、24.2%、女子が11.4%、14.5%であった(矯正統計年報及び法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。