令和3年における通常第一審の終局裁判に対する上訴率(公訴棄却の決定、正式裁判請求の取下げ及び移送等による終局を除く終局処理人員に対する上訴(控訴及び跳躍上告)人員の比率)は、地方裁判所の裁判については11.6%、簡易裁判所の裁判については6.9%であった。同年の高等裁判所における控訴事件の終局処理人員を受理区分別に見ると、被告人側のみの控訴申立てによるものが5,264人(98.7%)、検察官のみの控訴申立てによるものが54人(1.0%)、双方からの控訴申立てによるものが13人(0.2%)、破棄差戻し・移送等によるものはいなかった(司法統計年報による。)。
令和3年における高等裁判所の控訴審としての終局処理人員を罪名別に見るとともに、これを裁判内容別に見ると、2-3-4-1表のとおりである。高等裁判所の控訴審としての終局処理人員は、平成25年以降、5,700人台から6,100人台で推移していたが、令和2年に5,300人台に減少し、3年も5,331人(前年比1人減)であった(司法統計年報による。)。
破棄人員513人について破棄理由を見ると、判決後の情状によるものが337人と最も多く、次いで、事実誤認(71人)、量刑不当(58人)の順であった(二つ以上の破棄理由がある場合は、それぞれに計上している。司法統計年報による。)。また、第一審の有罪判決が覆されて無罪となった者は15人であり(司法統計年報による。)、第一審の無罪判決が覆されて有罪となった者は、検察官が無罪判決を不服として控訴した18人のうち11人であった(検察統計年報による。)。
第一審が裁判員裁判の控訴事件について見ると、令和3年の終局処理人員は377人(前年比18.2%増)であり、そのうち控訴棄却が305人と最も多く、控訴取下げが24人、公訴棄却が2人であった。破棄人員は46人であり、破棄のうち自判が43人(自判内容は、有罪が35人、一部有罪が3人、無罪が5人)、差戻し・移送が3人であった(司法統計年報による。)。
令和3年に言い渡された控訴審判決に対する上告率(控訴棄却の決定、控訴の取下げ、公訴棄却の決定及び移送・回付による終局を除く終局処理人員に対する上告人員の比率)は、44.5%であった。最高裁判所の上告事件の終局処理人員(第一審が高等裁判所であるものがある場合には、これを含む。)は、平成25年以降、1,800人台から2,100人台で推移しており、令和3年は1,852人(前年比1.5%減)であり、その内訳は、上告棄却が1,578人(85.2%)、上告取下げが263人(14.2%)と続く。破棄については、3人(自判が1人、差戻し・移送が2人)であった(司法統計年報による。)。
第一審が裁判員裁判の上告事件について見ると、令和3年の終局処理人員は168人で、その内訳は、上告棄却が155人、上告取下げが11人、破棄が1人(自判)、公訴棄却が1人であった(司法統計年報による。)。