平成23年以降,女性を被害者とする詐欺の認知件数が男性を被害者とするものを上回って推移している。詐欺の認知件数に占める被害者が高齢者であるものの構成比は,特殊詐欺の認知件数が増加する以前の13年は,総数では17.6%,女性では25.2%であったが,令和2年は,総数では47.0%,女性では58.3%となっている。この動きは,後述する特殊詐欺の影響を反映したものと思われる。
令和2年における特殊詐欺の認知件数について,被害者の男女別構成比を見ると,男性が約4分の1,女性が約4分の3を占めており,年齢層別に見ると,65歳以上の高齢者が被害者であるものが全体の約7分の6を占めている。特に多いのが,80歳以上の女性が被害者である事件であり,同年の特殊詐欺の認知件数の36.8%を占めた。特殊詐欺による実質的な被害総額は,平成26年には約566億円に達し,その後減少し続けているが,令和2年でも約285億円(認知件数(未遂を含む。)1件当たり約211万円)に上っている。