検察・裁判では,詐欺(刑法246条及び248条に規定する罪に限る。)の起訴率は,平成22年に60%を下回った後は,50%台で推移している。詐欺の起訴人員を犯行時の年齢層別に見ると,16年以降は20歳代の者が一貫して最も多く,令和2年は全体の4割弱を占めている。詐欺の全部執行猶予率は,平成16年以降50%台で推移しており,令和2年は52.8%と,全体の地方裁判所における有期懲役・禁錮の全部執行猶予率よりも低い。
矯正では,最近20年間の動きを見ると,詐欺の入所受刑者では,30歳未満の者の構成比が上昇傾向にある。入所度数別に見ると,初入者が占める割合が男女共に一貫して最も高く,男性では,平成22年以降,入所度数が3度以上の者の人員が減少し続けている。しかしながら,令和2年の詐欺の入所度数3度以上の男性入所受刑者(315人)のうち,約6割が5度以上の者であり,10度以上の者も58人いた。
更生保護では,平成22年以降,詐欺について,仮釈放者の人員がおおむね横ばいで推移する一方,満期釈放者等の人員が減少傾向にあったことから,仮釈放率が上昇傾向にあり,令和2年の仮釈放率は,出所受刑者総数の仮釈放率よりも顕著に高かった。詐欺の保護観察開始人員のうち,保護観察付全部・一部執行猶予者は,おおむね減少傾向にあり,全部執行猶予者の保護観察率も,平成14年をピークとして低下傾向にある。