令和2年における特殊詐欺(被害者が法人その他の団体である場合を除く。以下(1)において同じ。)の認知件数について,被害者の男女別・年齢層別構成比を特殊詐欺の類型(8-3-1-16表参照)別に見ると,8-3-3-5図のとおりである。
特殊詐欺総数では,男性が26.4%,女性が73.6%を占めた。融資保証金詐欺(男性70.1%)は,男性の構成比が女性の構成比を上回った。また,交際あっせん詐欺(同90.9%)及びギャンブル詐欺(同70.4%)も,同様であった(CD-ROM参照)。他方,預貯金詐欺(女性83.8%),オレオレ詐欺(同80.1%)及びキャッシュカード詐欺盗(同79.2%)は,女性の構成比が男性の構成比を上回り,いずれも被害者の約8割が女性であった。
特殊詐欺総数では,65歳以上の者が85.7%を占めた。65歳以上の者の構成比が高い類型は,預貯金詐欺(98.4%),キャッシュカード詐欺盗(96.7%)及びオレオレ詐欺(94.0%)であり,特に,預貯金詐欺は,80歳以上の者の構成比が68.8%に達していた。一方,40~64歳の者の構成比が高い類型は,交際あっせん詐欺(68.2%),ギャンブル詐欺(46.9%),融資保証金詐欺(44.3%)及び架空料金請求詐欺(41.2%)であり,その中でも,交際あっせん詐欺は,40~64歳の男性の構成比が63.6%であった。(CD-ROM参照)。
特殊詐欺による被害総額(現金被害額)及び実質的な被害総額(被害総額に,詐取又は窃取されたキャッシュカードを使用してATMから引き出された金額を加えた額をいう。以下(2)において同じ。統計の存在する平成22年以降に限り,同年から24年まではオレオレ詐欺によるもののみを計上している。)の推移(16年以降)を見ると,8-3-3-6図のとおりである。被害総額は,同年(約284億円)から20年まで250億円以上で推移し,21年(約96億円)に大きく減少した。実質的な被害総額は,26年(約566億円)まで増加し続けたが,その翌年から減少し続け,令和2年は約285億円(前年比9.7%減)であった。被害総額と実質的な被害総額の差は,平成27年から令和元年までは広がり続けたが,2年は約106億円(同11.4%減)であった。各年の被害総額(平成22年以降は,実質的な被害総額)を特殊詐欺の認知件数(8-3-1-17図参照。なお,未遂も含まれる点に留意する必要がある。)で割った金額の推移を見ると,16年(約111万円)から増加傾向にあり,23年に200万円を,24年に400万円を超え,26年(約422万円)に最高額に達した後,その翌年から減少傾向にあったが,令和2年は約211万円(同12.3%増)であった。
特殊詐欺の被害総額の推移(平成16年以降)及び実質的な被害総額の推移(22年以降)を特殊詐欺の類型別に見ると,8-3-3-7図のとおりである。令和2年における実質的な被害総額を見ると,架空料金請求詐欺(約80億円),オレオレ詐欺(約68億円),預貯金詐欺(約58億円),キャッシュカード詐欺盗(約43億円),還付金詐欺(約25億円),金融商品詐欺(約4億円),融資保証金詐欺(約4億円)の順に多かった。各類型の推移を見ると,架空料金請求詐欺が最も多かった26年,27年及び令和2年を除いて,オレオレ詐欺が最も多い(なお,預貯金詐欺は,従来オレオレ詐欺に包含されていた犯行形態を同年1月から新たな類型として分類したものであるが,同年においても,オレオレ詐欺と預貯金詐欺の合計額は,架空料金請求詐欺を上回る。)。
特殊詐欺の被害総額(平成22年以降は実質的な被害総額。以下(2)において同じ。)におけるオレオレ詐欺の構成比は,同年(70.4%)を最高に,16年から23年までは50%台から70%台までの間で推移した後,24年から27年までの間は30%台に低下したものの,28年以降は,30%台後半から50%台前半の間で推移し,令和2年は44.2%(預貯金詐欺を含む。前年比7.0pt上昇)であった。架空料金請求詐欺による被害額の構成比は,平成22年までは,おおむね10%台から30%台で推移した後,23年及び24年は10%未満と低下したが,26年からは,おおむね30%台で推移し,令和2年は28.0%(同3.3pt低下)であった。
令和2年の類型別被害総額を当該類型の認知件数(8-3-1-19図参照。なお,未遂も含まれる点に留意する必要がある。)で割った金額は,金融商品詐欺は約718万円,架空料金請求詐欺は約397万円,オレオレ詐欺(預貯金詐欺を含む。)は約197万円,キャッシュカード詐欺盗は約150万円,還付金詐欺は約138万円,融資保証金詐欺は約133万円であった。