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令和3年版 犯罪白書 第8編/第3章/第1節/2

2 検察
(1)被疑事件の受理
ア 全体

8-3-1-30図は,詐欺の検察庁新規受理人員の推移(最近30年間)を見たものである。詐欺は,平成3年以降,11年まで1万1,000人前後で推移していたが,翌年から増加傾向となり,21年(1万9,951人)にはピークを迎えた。その後,28年までは1万7,000人台から1万8,000人台の間で推移していたが,同年以降は減少し続け,令和2年は1万3,593人(前年比8.2%減)であり,そのうち,検察官が自ら認知し,又は告訴・告発を受けたのは,206人であった(検察統計年報による。)。詐欺のうち電子計算機使用詐欺の検察庁新規受理人員は,平成4年以降,20人台から60人台の間で推移した後,13年(120人)に急増して19年までは50人台から110人台の間で推移していたが,20年(346人)に再び急増して以降は120人台から490人台の間で推移して29年(511人)にピークを迎え,その後は減少傾向にあり,令和2年は343人(同0.9%減)であった(CD-ROM参照)。

8-3-1-30図 詐欺 検察庁新規受理人員の推移
8-3-1-30図 詐欺 検察庁新規受理人員の推移
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イ 少年

8-3-1-31図は,少年による詐欺の検察庁新規受理人員の推移(最近20年間)を年齢層別に見たものである。少年による詐欺は,平成13年以降,増加し続け,16年(1,409人)に急増した後は1,000人台から1,600人台の間で推移していたが,令和2年は809人(前年比25.1%減)であった。年齢層別では,年長少年の人員が一貫して最も多い。

8-3-1-31図 少年による詐欺 検察庁新規受理人員の推移(年齢層別)
8-3-1-31図 少年による詐欺 検察庁新規受理人員の推移(年齢層別)
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(2)被疑事件の処理
ア 概要

詐欺(刑法246条及び248条に規定する罪に限る。以下アにおいて同じ。)及び電子計算機使用詐欺の検察庁終局処理人員の処理区分別構成比の推移(最近20年間)を見ると,8-3-1-32図のとおりである。検察庁終局処理人員の総数に占める家庭裁判所送致の比率(2-2-4-1図CD-ROM参照)は,近年低下傾向にあり,平成13年に11.9%であったものが,令和2年には5.3%となったのに対し,詐欺は,平成13年に3.9%であったものが,その後30年の9.4%を最高に,上昇と低下を繰り返し,令和2年は5.2%であった。

8-3-1-32図 詐欺 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比の推移(罪名別)
8-3-1-32図 詐欺 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比の推移(罪名別)
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詐欺及び電子計算機使用詐欺について,起訴,起訴猶予及びその他の不起訴の人員並びに起訴率及び起訴猶予率の推移(最近20年間)を見ると,8-3-1-33図のとおりである。起訴人員について見ると,詐欺は,平成13年以降,増加し続けて18年(1万2,222人)に最多となった後,19年から28年までは8,000人台から1万1,000人台の間で推移していたが,同年以降,減少し続け,令和2年(6,700人)は,平成18年の約2分の1の水準となっている。電子計算機使用詐欺は,27年の405人を最多に,増減を繰り返しているが,同年以降は,おおむね200人を超える水準で推移している(CD-ROM参照)。

不起訴人員について見ると,詐欺は,平成13年以降増加傾向にあったが,25年(7,753人)をピークに翌年からは減少傾向にある。電子計算機使用詐欺は,年による変動が大きいが,26年以降は,おおむね100人を超える水準で推移している(CD-ROM参照)。

起訴率について見ると,詐欺は,平成13年以降,21年まで60%台で推移していたが,翌年に60%を下回った後は,50%台で推移しており,刑法犯全体(令和2年は37.4%。2-2-4-2図<1>参照)よりも顕著に高い。他方,電子計算機使用詐欺は,50%台後半から90%台前半の間で推移している(CD-ROM参照)。

起訴猶予率について見ると,平成13年以降,詐欺は,17年(21.6%)を底として,翌年以降上昇傾向にあり,25年に31.0%に達した後は,30%前後で推移している。電子計算機使用詐欺は,20年(4.7%)を底として,翌年から上昇し続け,26年に28.6%に達した後は,おおむね10%台で推移していたが,令和2年は25.6%であった。いずれも刑法犯全体(令和2年は52.2%。2-2-4-4図参照)と比較して低い(CD-ROM参照)。

なお,令和2年において,組織的犯罪処罰法違反(組織的な詐欺に限る。)の起訴人員は13人,不起訴人員は7人(起訴猶予3人及び嫌疑不十分4人)であり,起訴率は65.0%,起訴猶予率は18.8%であった(検察統計年報による。)。

8-3-1-33図 詐欺 起訴・不起訴人員等の推移(罪名別)
8-3-1-33図 詐欺 起訴・不起訴人員等の推移(罪名別)
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イ 起訴

8-3-1-34図は,詐欺の起訴人員の推移(最近20年間)を犯行時の年齢層別に見たものである。平成13年から15年までは,30歳代の者が最も多かったが,16年以降は,20歳代の者が一貫して最も多く,令和2年は,2,663人で,全体の38.6%を占めている。30歳代の者は平成21年(3,209人),40歳代の者は同年(2,220人),50~64歳の者は14年(2,400人),65歳以上の者は20年(576人)をそれぞれピークに,減少傾向にあるが,20歳代の者は,18年(4,140人)を最多として,16年以降おおむね2,000人台後半を超える水準で推移している。20歳未満の者も,17年(195人)を最多として,16年以降80人台から190人台の間で推移している(CD-ROM参照)。

8-3-1-34図 詐欺 起訴人員の推移(年齢層別)
8-3-1-34図 詐欺 起訴人員の推移(年齢層別)
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