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令和2年版 犯罪白書 第2編/第3章/第4節

第4節 上訴審

令和元年における通常第一審の終局裁判に対する上訴率(公訴棄却の決定,正式裁判請求の取下げ及び移送等による終局を除く終局処理人員に対する上訴(控訴及び跳躍上告)人員の比率)は,地方裁判所の裁判については12.3%,簡易裁判所の裁判については6.0%であった。同年の高等裁判所における控訴事件の終局処理人員を受理区分別に見ると,被告人側のみの控訴申立てによるものが5,736人(98.4%),検察官のみの控訴申立てによるものが72人(1.2%),双方からの控訴申立てによるものが19人(0.3%),破棄差戻し・移送等によるものが1人(0.02%)であった(司法統計年報による。)。

令和元年における高等裁判所の控訴審としての終局処理人員を罪名別に見るとともに,これを裁判内容別に見ると,2-3-4-1表のとおりである。

破棄人員530人について破棄理由を見ると,判決後の情状によるものが358人と最も多く,次いで,量刑不当(70人),事実誤認(66人)の順であった(二つ以上の破棄理由がある場合は,それぞれに計上している。司法統計年報による。)。また,第一審の有罪判決が覆されて無罪となった者は22人であり(司法統計年報による。),第一審の無罪判決が覆されて有罪となった者は,検察官が無罪判決を不服として控訴した26人のうち10人であった(検察統計年報による。)。

第一審が裁判員裁判の控訴事件について見ると,令和元年の終局処理人員は380人であり,そのうち控訴棄却が302人と最も多く,控訴取下げが35人,公訴棄却が1人であった。破棄人員は42人であり,破棄のうち自判が36人(自判内容は,有罪が29人,一部有罪が2人,無罪が5人),差戻し・移送が6人であった(司法統計年報による。)。

2-3-4-1表 控訴審における終局処理人員(罪名別,裁判内容別)
2-3-4-1表 控訴審における終局処理人員(罪名別,裁判内容別)
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令和元年に言い渡された控訴審判決に対する上告率(控訴棄却の決定,控訴の取下げ,公訴棄却の決定及び移送・回付による終局を除く終局処理人員に対する上告人員の比率)は,42.5%であった。同年における最高裁判所の上告事件の終局処理人員は,2,091人(第一審が高等裁判所であるものを含む。)であり,その内訳は,上告棄却が1,742人(83.3%),上告取下げが338人(16.2%)と続く。破棄については,3人(全員が自判であり,その自判内容は有罪)であった(司法統計年報による。)。

第一審が裁判員裁判の上告事件について見ると,令和元年の終局処理人員は171人で,その内訳は,上告棄却が154人,上告取下げが17人であり,破棄及び公訴棄却の者はいなかった(司法統計年報による。)。