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令和元年版 犯罪白書 第6編/第2章/第2節/5
5 自動車損害賠償保障制度

自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)は,自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立することにより,被害者の保護を図ることなどを目的としている。自動車損害賠償保障制度の中核となっているのは,自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済(以下この項において「自賠責保険等」という。)である。

さらに,自賠責保険等を補完するものとして,政府が行っている自動車損害賠償保障事業がある。これは,加害者を特定できない「ひき逃げ事故」や有効な自賠責保険等が締結されていない「無保険(無共済を含む。以下この項において同じ。)」の自動車による事故の場合には,自賠責保険等による救済を受けられないため,政府が被害者に対して損害額をてん補するものであり,その保障金は,自賠責保険等の保険金の支払基準に準じて支払われる。

平成29年度の自動車損害賠償保障事業による保障金は,ひき逃げ事故について569人(元年度3,054人,15年度3,546人),無保険車による事故について142人(元年度346人,15年度726人)に支払われた。支払額は,死亡者一人当たり平均約1,931万円(元年度約1,820万円,15年度約2,080万円),負傷者一人当たり平均約66万円(元年度約65万円,15年度約61万円)であった(国土交通省自動車局の資料による。)。