保護観察処分少年は,原則として,20歳に達するまで(その期間が2年に満たない場合には2年間)保護観察を受けるが,保護観察を継続しなくとも確実に改善更生することができると認められるに至ったときは,保護観察所の長の判断により,解除の措置が執られて保護観察は終了する。また,更生保護法の施行後は,保護観察所の長の判断により,一定期間,指導監督,補導援護等を行わず経過を観察する一時解除の措置が執られることもある。少年院仮退院者については,少年院の収容期間(収容すべきであった期間)の満了まで保護観察を受けるが,保護観察を継続しなくとも確実に改善更生することができると認められるに至ったときは,保護観察所の長の申出に基づき地方更生保護委員会が退院を決定し,保護観察は終了する。解除となった保護観察処分少年は,平成元年は1万6,926人,15年は1万9,194人,30年は7,080人であり,30年に一時解除となった者は6人であった。また,退院となった少年院仮退院者は,元年は881人,15年は1,077人,30年は362人であった(保護統計年報による。)。
保護観察所の長は,保護観察処分少年について,新たにぐ犯事由があると認めるときは,家庭裁判所に通告することができる。また,平成19年11月に施行となった少年法の一部改正により(第1編第2章第2節1項(3)参照),保護観察所の長は,保護観察処分少年が遵守事項を遵守しなかったときは,これを遵守するよう警告を発することができ,なお遵守事項を遵守せず,その程度が重いときは,家庭裁判所に対し,新たな保護処分として児童自立支援施設・児童養護施設送致又は少年院送致の決定をするように申請(施設送致申請)することができることになった。通告がなされた者は,元年が89人,15年が29人,30年が4人であり,警告がなされた件数は,20年が54件,30年が45件,施設送致申請がなされた者は,20年が5人,30年が5人であった(平成2年版犯罪白書,保護統計年報及び法務省保護局の資料による。)。
少年院仮退院者が遵守事項を遵守しなかったときは,保護観察所の長の申出と地方更生保護委員会の申請を経て,家庭裁判所の決定により,少年院に再収容(戻し収容)することがある。平成元年・15年・30年に戻し収容となった者は,元年が31人,15年が10人,30年が5人であった(保護統計年報による。)。
3-2-5-7図は,保護観察中に所在不明となっている少年の保護観察対象者の人員と所在不明者率(各年末現在の保護観察対象者の人員に占める所在不明となっている保護観察対象者の人員の比率をいう。)の推移(平成元年以降)を見たものである。