前の項目 次の項目        目次 図表目次 年版選択

令和元年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/2

2 家庭裁判所
(1)受理状況

少年保護事件の家庭裁判所新規受理人員の推移(昭和24年以降)は,3-2-2-2図のとおりである。

一般保護事件(道交違反に係るもの以外の少年保護事件。以下この項において同じ。)の家庭裁判所新規受理人員は,昭和41年及び58年のピークを経て,しばらく減少傾向にあったが,平成期に入っても,平成元年(28万1,630人)をピークにおおむね減少傾向のまま推移し,特に16年以降,毎年減少している。

道路交通保護事件(道交違反に係る少年保護事件。以下この項において同じ。)の家庭裁判所新規受理人員は,昭和45年の交通反則通告制度の少年への適用拡大,62年の同制度の反則行為の拡大により急減したが,平成期においても,平成元年(22万1,127人)をピークに減少傾向にあり,22年以降は,毎年減少している。その減少の程度は,一般保護事件の減少より著しく,30年には一般保護事件の3分の1以下となっている。

3-2-2-2図 少年保護事件 家庭裁判所新規受理人員の推移
3-2-2-2図 少年保護事件 家庭裁判所新規受理人員の推移
Excel形式のファイルはこちら
(2)処理状況
ア 終局処理の概要

平成元年・15年・30年における少年保護事件について,ア一般保護事件,イ業過保護事件,業過等保護事件ないし過失運転致死傷等保護事件,ウ道路交通保護事件別に,家庭裁判所終局処理人員の処理区分別構成比を見ると,3-2-2-3図のとおりである。

3-2-2-3図 少年保護事件 終局処理人員の処理区分別構成比
3-2-2-3図 少年保護事件 終局処理人員の処理区分別構成比
Excel形式のファイルはこちら

ア一般保護事件については,いずれの年でも,審判不開始の割合が最も高いが,平成30年は,元年及び15年と比較すると,その割合が低い反面,保護観察の割合が高い。また,イ業過保護事件,業過等保護事件ないし過失運転致死傷等保護事件では,いずれの年でも不処分の割合が最も高く,次いで,元年は,保護観察,審判不開始の順だったのに対し,15年及び30年は,審判不開始,保護観察の順となっており,いずれの年も元年と比較すると審判不開始の割合が高い反面,保護観察の割合が低くなっている。ウ道路交通保護事件では,元年は,不処分の割合が最も高く,次いで,保護観察,審判不開始の順,15年は,保護観察の割合が最も高く,次いで不処分,審判不開始の順だったのに対し,30年は,審判不開始の割合が最も高く,次いで保護観察,検察官送致の順であった。処理区分別・非行名別の終局処理人員については,CD-ROM資料3-12参照。

イ 原則逆送事件の処理状況

犯行時16歳以上の少年による故意の犯罪行為で被害者を死亡させた罪の事件については,家庭裁判所は,原則として検察官に送致しなければならないが,これに該当する原則逆送事件の終局処理人員の推移は,3-2-2-4図のとおりである。原則逆送制度が開始された平成13年以降の推移を見ると,14年(83人)のピーク後,16年までは大きな増減はなかったが,17年以降,減少傾向にあり,25年にやや増加した後は,毎年減少している。

平成13年4月以降30年末までの間における原則逆走事件の終局処理人員の合計は729人であり,このうち469人(64.3%)が検察官送致決定を受けている(最高裁判所事務総局の資料による。)。

3-2-2-4図 原則逆送事件 家庭裁判所終局処理人員の推移(処理区分別)
3-2-2-4図 原則逆送事件 家庭裁判所終局処理人員の推移(処理区分別)
Excel形式のファイルはこちら

また,平成30年における家庭裁判所の終局処理人員(年齢超過による検察官送致決定を除く。)を罪名別に見るとともに,これを処理区分別に見ると,3-2-2-5表のとおりである。

3-2-2-5表 原則逆送事件 家庭裁判所終局処理人員(罪名別,処理区分別)
3-2-2-5表 原則逆送事件 家庭裁判所終局処理人員(罪名別,処理区分別)
Excel形式のファイルはこちら