更生保護の機関には,法務省に置かれている中央更生保護審査会(委員長と委員4人で組織する合議制の機関),高等裁判所の管轄区域ごとに置かれている地方更生保護委員会(3人以上15人以内の委員で組織する合議制の機関)及び地方裁判所の管轄区域ごとに置かれている保護観察所がある。中央更生保護審査会は,法務大臣への個別恩赦の申出等の権限を有し,地方更生保護委員会は,矯正施設の長からの申出等に基づき,仮釈放・仮退院の許否を決定するなどの権限を有している。保護観察所は,保護観察,生活環境の調整,更生緊急保護の実施,犯罪予防活動の促進等の業務を行っている。
平成31年度における職員数は,地方更生保護委員会の委員は57人(元年度53人,15年度53人)であり,保護観察官は,地方更生保護委員会事務局に169人(元年度94人,15年度110人),保護観察所に1,237人(元年度854人,15年度992人)である(法務省保護局の資料による。)。
平成期における更生保護の大きな変化は,平成18年6月の「更生保護のあり方を考える有識者会議」の提言等を踏まえ,20年6月,犯罪者予防更生法(昭和24年法律第142号)と執行猶予者保護観察法(昭和29年法律第58号)を整理・統合した更生保護法(平成19年法律第88号)が施行され,保護観察処遇等の一層の充実強化が図られたこと,25年6月,刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(平成25年法律第50号)が成立し,更生保護法が一部改正され,28年6月,刑の一部執行猶予制度が導入されたことなどが挙げられる(第1編第2章第4節参照)。