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令和元年版 犯罪白書 第3編/第1章/第3節/4

4 上訴審

平成30年における通常第一審の終局裁判に対する上訴率(公訴棄却の決定,正式裁判請求の取下げ,移送等による終局を除く終局処理人員に対する上訴(控訴及び跳躍上告)人員の比率)は,地方裁判所の裁判については12.0%(元年は9.7%,15年は11.6%),簡易裁判所の裁判については5.3%(元年は5.2%,15年は5.6%)であった。30年の高等裁判所における控訴事件の終局処理人員を受理区分別に見ると,被告人側のみの控訴申立てによるものが5,627人(98.5%(元年は98.4%,15年は97.6%)),検察官のみの控訴申立てによるものが69人(1.2%(元年は1.3%,15年は1.8%)),双方からの控訴申立てによるものが14人(0.2%(元年は0.3%,15年は0.6%)),破棄差戻し・移送等によるものはいなかった(元年及び15年は各1人)(司法統計年報による。)。

平成元年・15年・30年における高等裁判所の控訴審としての終局処理人員を裁判内容別に見るとともに,30年について,これを更に罪名別に見ると,3-1-3-16表のとおりである。破棄率(終局処理人員に占める破棄人員の比率)について見ると,元年及び15年については,いずれも15%前後であったが,30年には10.1%であった。

平成30年の破棄人員576人について破棄理由を見ると,判決後の情状によるものが335人と最も多く,次いで,事実誤認(98人),量刑不当(95人)の順であった。元年及び15年も最も多かったのは判決後の情状(元年は475人,15年は798人)であったが,次いで,量刑不当(元年は247人,15年は329人),事実誤認(元年は69人,15年は117人)の順であった(二つ以上の破棄理由がある場合は,それぞれに計上している。司法統計年報による。)。また,30年に第一審の有罪判決が覆されて無罪となった者は31人(元年は18人,15年は12人)であり(司法統計年報による。),30年に第一審の無罪判決が覆されて有罪となった者は,検察官が無罪判決を不服として控訴した26人のうち9人(元年は8人のうち4人,15年は32人のうち25人)であった(検察統計年報による。)。

第一審が裁判員裁判の控訴事件について,裁判員制度開始から平成30年までに終局した事件について見ると,終局処理人員は3,789人(30年は387人)で,そのうち控訴棄却が3,054人(同307人)と最も多く,控訴取下げが366人(同33人)と続く。破棄人員は354人(同46人)であり,破棄率は9.3%(同11.9%)であった。破棄のうち自判が326人(同40人),差戻し・移送が28人(同6人)であり,自判の内容は,有罪が301人,一部有罪が7人,無罪が17人,免訴が1人(30年は,有罪が35人,一部有罪が1人,無罪が3人,免訴が1人)であった(司法統計年報及び最高裁判所事務総局の資料による。)。

3-1-3-16表 控訴審における終局処理人員(罪名別,裁判内容別)
3-1-3-16表 控訴審における終局処理人員(罪名別,裁判内容別)
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平成30年に言い渡された控訴審判決に対する上告率(控訴棄却の決定,控訴の取下げ,公訴棄却の決定及び移送・回付による終局を除く終局処理人員に対する上告人員の比率)は,40.0%(元年は38.4%,15年は44.2%)であった。最高裁判所の上告事件の終局処理人員は,元年は1,547人,15年は2,783人,30年は1,993人(第一審が高等裁判所であるものを含む。)であった。その内訳は,各年とも上告棄却が最も多く(元年81.4%,15年77.6%,30年85.4%),上告取下げがこれに続く(元年16.5%,15年21.9%,30年14.0%)。破棄については,元年は28人(自判25人(自判内容は一部有罪5人,無罪5人,免訴15人),差戻し・移送3人),15年は6人(自判5人(自判内容は有罪3人,無罪2人),差戻し・移送1人),30年は6人(自判5人(自判内容は有罪4人,無罪1人),差戻し・移送1人)であった(司法統計年報による。)。

第一審が裁判員裁判の上告事件について,裁判員制度開始から平成30年までに終局した事件について見ると,終局処理人員は1,540人(30年は166人)で,そのうち上告棄却が1,329人(同149人)と最も多く,上告取下げが199人(同15人),破棄が10人(同2人)と続く。破棄のうち自判が5人(同1人),差戻し・移送が5人(同1人)であり,自判の内容は,有罪が3人,無罪が2人(30年は,無罪が1人)であった(司法統計年報及び最高裁判所事務総局の資料による。)。