平成元年・15年・30年における少年による刑法犯の検挙人員の罪名別構成比を見ると,2-2-1-7図のとおりである。いずれの年も,窃盗,横領,傷害の順に構成比が高いものの,元年は窃盗が7割以上を占めていたが,15年及び30年は約6割であり,また,元年は横領が約1割であったが,15年は25.4%に上昇し,30年は再び約1割に低下している。
平成元年・15年・30年における少年による刑法犯の検挙人員(男女別)及び少年比を罪名別に見ると,2-2-1-8表のとおりである(CD-ROM資料2-7,2-8及び2-9参照)。女子比を罪名別に見ると,元年及び15年は,詐欺がそれぞれ30.6%,32.6%と最も高かったが,30年は12.8%に低下しており,殺人が34.2%と最も高くなっている。少年比について見ると,30年の総数は14.5%と,元年と比べて43.1pt,15年と比べて27.1pt低下している。罪名別では,少年比が最も高いのは,元年は窃盗(67.0%)であったが,15年及び30年は住居侵入(それぞれ51.3%,26.6%)であった。30年の総数の少年比は元年及び15年と比べて低下している一方,30年の詐欺は11.5%と,元年と比べて3.7pt,15年と比べて4.4pt上昇した。なお,特殊詐欺(本編第1章第1節2項(3)エ参照)による少年の検挙人員は,近年増加傾向にあり,30年は749人(前年比269人増)と特殊詐欺による検挙人員全体の27.9%を占めている(警察庁刑事局の資料による。)。
少年による窃盗及び窃盗を除く刑法犯の検挙人員並びに人口比の推移(平成元年以降)は2-2-1-9図のとおりである。窃盗の検挙人員は,元年から7年にかけて減少傾向にあったが,8年から一旦増加した後,11年以降再び減少傾向にあり,30年は1万7,848人(元年比88.1%減,10年比85.3%減)であった。窃盗を除く刑法犯の検挙人員は,元年から15年にかけて増加傾向にあったが,16年以降一貫して減少しており,30年は1万2,610人(元年比74.8%減,15年比82.0%減)であった。
少年による窃盗の検挙人員の推移(平成元年以降)を態様別に見ると,2-2-1-10図<1>のとおりである。乗り物盗及び侵入窃盗は,平成期を通じて減少傾向にある一方,非侵入窃盗は,元年から4年にかけて減少した後,5年から一旦増加したが,11年以降再び減少傾向にある。2-2-1-10図<2>は,検挙人員の推移(元年以降)を手口別に見たものである。平成期を通じて,万引きが最も多く,非侵入窃盗に占める割合は一貫して7割を超え,窃盗全体に占める割合も平成中期以降は約半数を占めており,30年は54.1%であった(CD-ROM参照)。
少年による窃盗を除く刑法犯について,検挙人員の推移(平成元年以降)を罪名別に見ると,2-2-1-11図のとおりである(詳細については,CD-ROM資料2-7参照)。30年の恐喝は420人であり,最も多かった12年(7,365人)と比べて94.3%減少,30年の横領は2,882人であり,最も多かった15年(4万2,157人)と比べて93.2%減少しており,平成期におけるピーク時からの減少幅はそれぞれ窃盗(最も多かった元年(14万9,688人)と比べて88.1%減少)より大きい(2-2-1-9図参照)。また,30年の詐欺(1,087人)及び強制わいせつ(499人)は,元年と比べて増加している(それぞれ56.6%増,10.6%増)。