高齢入所受刑者は,非高齢者と比べて入所度数が多い者の割合が高く,男女共に配偶者と離別・死別した者が過半数を占め,配偶者を有する者の割合が低い。男性高齢出所受刑者中,満期釈放者の出所後の帰住先では「その他」が,同じく仮釈放者の帰住先では「更生保護施設等」がどちらも4割を超え,高齢者の仮釈放率も全体より過去20年間一貫して低い。入所度数が多いほど犯罪時に住居不定である者の割合が高く,再入所を繰り返す高齢者が,出所後,同居する家族や安定した住居のない不安定な生活を送っている状況がうかがわれる。
高齢の保護観察付全部・一部執行猶予者は,保護観察開始時点において,男性で半数近く,女性では約3割が一人暮らしであり,非高齢者と比べて単身生活者の割合が高い。
以上の傾向から,特別調整による福祉施設等での受入れの拡充等,生活環境の調整が特に重要であり,住居訪問による丁寧な生活状況の把握等,同居家族の不在に配意した保護観察処遇の重要性も高いと考えられる。