この項では,前項の親族殺群のうち,割合の高い配偶者殺群及び子殺群に着目し,両群を比較してその特徴を分析する。
配偶者殺群のうち,男性は24人(親族殺群男性の57.1%)であり,女性は5人(親族殺群女性の38.5%)であった。子殺群のうち,男性は11人(親族殺群男性の26.2%)であり,女性は8人(親族殺群女性の61.5%)であった。
7-4-2-14図は,被害者の心身の障害等を見たものである。子殺群では,被害者に精神の障害等ありの割合が78.9%であり,配偶者殺群(20.7%)と比べて顕著に高く,精神・身体の障害等ありと合わせると,被害者のうちの約9割が精神の障害等を有していた。また,配偶者殺群においては,身体の障害等ありが13.8%であり,精神・身体の障害等ありと合わせると,被害者のうちの約3割が身体の障害等を有していたが,子殺群は,精神・身体の障害等ありが10.5%であり,身体の障害等のみを有するものはいなかった。また,配偶者殺群のうち,被害者が要介護・寝たきりのものは34.5%,認知症のものは31.0%であった。
7-4-2-15図は,子殺群において上位5項目に関する犯行の動機・背景(重複計上による。)を見たものである(その他の項目等詳細についてはCD-ROM参照)。配偶者殺群は,将来悲観・自暴自棄(69.0%),問題の抱え込み(62.1%),無理心中(48.3%)の順に高く,子殺群は,問題の抱え込み(94.7%),家庭内トラブル(84.2%),将来悲観・自暴自棄(57.9%)の順に高い。また,配偶者殺群では,介護疲れ(37.9%)が子殺群(21.1%)と比べて高く,子殺群では,被害者からの暴力・暴言への反撃が52.6%であり,配偶者殺群(3.4%)と比べて顕著に高い(CD-ROM参照)。