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平成30年版 犯罪白書 第7編/第4章/第2節/3

3 親族殺群・非親族殺群の比較

高齢群では,親族を被害者とするものの割合が高いことから,この項では,高齢群を親族殺群と非親族殺群とに分け,両群を比較して分析する。

親族殺群のうち,男性は42人(高齢群男性の61.8%)であり,女性は13人(高齢群女性の92.9%)であった。

7-4-2-11図は,犯行の動機・背景(重複計上による。)を見たものである。親族殺群は,問題の抱え込み(69.1%),将来悲観・自暴自棄(56.4%),家庭内トラブル(54.5%)の順に高く,非親族殺群は,対人トラブル(66.7%),鬱屈した不満(55.6%),かっとなって(51.9%),報復・恨み(48.1%)の順に高い。

7-4-2-11図 高齢殺人事犯者の犯行の動機・背景(親族殺・非親族殺別)
7-4-2-11図 高齢殺人事犯者の犯行の動機・背景(親族殺・非親族殺別)
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7-4-2-12図は,被害者の心身の状況を見たものである。親族殺群では,被害者の心身に障害等があるものの割合が58.2%であり,非親族殺群(7.4%)と比べて顕著に高く,また,親族殺群において,被害者が要介護・寝たきりの状態にあるものは29.1%,認知症のものは16.4%であった。

7-4-2-12図 高齢殺人事犯者の被害者の心身の状況別構成比(親族殺・非親族殺別)
7-4-2-12図 高齢殺人事犯者の被害者の心身の状況別構成比(親族殺・非親族殺別)
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親族殺群では,非親族殺群と比べて,既遂率(既遂を含む事案の占める割合をいう。以下この節において同じ。)が高く,非親族殺群の既遂率は44.4%(12人)であるのに対し,親族殺群では既遂率が58.2%(32人)であった。

7-4-2-13図は,親族殺群のうちの既遂を含む事案を裁判内容・実刑の刑期別に見たものである。親族殺群においては,実刑23人(71.9%),単純全部執行猶予8人(25.0%),保護観察付全部執行猶予1人(3.1%)の順であった。このうち女性では,単純全部執行猶予4人,実刑3人,保護観察付全部執行猶予1人の順であった。

実刑の刑期別では,3年以下,5年超10年以下及び10年超15年以下が,いずれも5人(21.7%)と最も多く,3年超5年以下は4人(17.4%)であった。女性では,3年以下が2人,3年超5年以下が1人であった。

7-4-2-13図 高齢殺人事犯者(親族殺人既遂事案)の裁判内容・刑期別構成比
7-4-2-13図 高齢殺人事犯者(親族殺人既遂事案)の裁判内容・刑期別構成比
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