この項では,殺人事案の被害者の年齢に着目し,被害者が高齢であった事案の加害者を「被害者高齢群」,被害者が非高齢であった事案の加害者を「被害者非高齢群」とに分け,両群を対比し,高齢者が被害者となった殺人事案の加害者及び事案の特徴を明らかにする。
被害者高齢群は99人(調査対象者の27.2%),被害者非高齢群は265人(同72.8%)であった。
7-4-2-16図は,殺人事犯者の加害者の年齢層別構成比を,被害者高齢群と被害者非高齢群とに分けて見たものである。被害者高齢群は,被害者非高齢群と比べて,65歳以上の高齢者が加害者である割合が高い。
被害者と加害者との関係については,被害者高齢群では,加害者が子が30人(30.3%)と最も多く,次いで,加害者が配偶者25人(25.3%)の順であった。被害者高齢群では,加害者が親族の割合が66.7%と,被害者非高齢群(41.1%)と比べて高かった。
また,被害者高齢群で,加害者が子(30人)のうち,加害者に精神的健康問題がある者は21人(70.0%),加害者が配偶者(25人)のうち,加害者に精神的健康問題がある者は8人(32.0%)であった。
7-4-2-17図は,殺人事犯者(犯行場所が不詳の者を除く。)の犯行場所別構成比を,被害者高齢群と被害者非高齢群とに分けて見たものである。被害者高齢群では,被害者非高齢群と比べて,加害者方(被害者同居あり)及び被害者方(加害者同居なし)の割合が高い。