近年,児童虐待(保護者によるその監護する18歳未満の児童に対する虐待の行為。児童虐待防止法2条参照)の事例が深刻化及び複雑化していることなどから,児童虐待防止法の制定とその改正(平成16年法律第30号等)を始めとする関係法令の整備等によって,児童虐待を防止するための制度の充実が図られている。
4-6-1-1図は,児童虐待に係る事件(児童虐待防止法2条の規定する児童虐待により犯罪として検挙された事件をいう。以下この節において同じ。)について,罪名別の検挙件数及び検挙人員総数の推移(最近10年間)を見たものである(罪名別の検挙人員については,CD-ROM参照)。検挙件数及び検挙人員は平成26年から4年連続で増加し,29年は1,116件,1,153人であり,それぞれ20年(304件,316人)の約3.7倍,約3.6倍であった。罪名別では,特に,暴行が顕著に増えている(CD-ROM参照)。
4-6-1-2表は,平成29年の児童虐待に係る事件の検挙人員について,被害者から見た加害者との関係別に見るとともに,これを罪名別に見たものである。総数では,父親等の割合(73.0%)が高いが,殺人では,母親等の割合が72.0%と高かった。また,実親が総数の66.8%を占めている。