4-5-1-1図は,不正アクセス行為(不正アクセス禁止法11条に規定する罪をいう。)の認知件数の推移(平成12年以降)を見たものである。24年の同法改正(平成24年法律第12号。同年5月1日施行)により他人のIDやパスワードの不正取得等の罪が新設され,以後,26年まで認知件数は増加したが,27年から減少に転じ,29年は1,202件(前年比34.7%減)であった。
平成29年の不正アクセス行為の認知件数について,被害を受けた特定電子計算機(ネットワークに接続されたコンピュータをいう。)のアクセス管理者(特定電子計算機を誰に利用させるかを決定する者をいう。)別の内訳を見ると,被害は,「一般企業」が圧倒的に多く(1,177件),「行政機関等」は9件,「プロバイダ」は6件,「大学・研究機関等」は5件であった。また,不正アクセス行為後の行為の内訳を見ると,「インターネットバンキングでの不正送金等」が最も多く(442件,36.8%),次いで,「仮想通貨交換業者等での不正送信」(149件,12.4%),「メールの盗み見等の情報の不正入手」(146件,12.1%),「インターネットショッピングでの不正購入」(133件,11.1%)の順であった(警察庁生活安全局,総務省情報流通行政局及び経済産業省商務情報政策局の資料による。)。
コンピュータ・電磁的記録対象犯罪(電磁的記録不正作出・毀棄等,電子計算機損壊等業務妨害,電子計算機使用詐欺及び不正指令電磁的記録作成等),支払用カード電磁的記録に関する罪(刑法第2編第18章の2に規定する罪)及び不正アクセス禁止法違反の検挙件数の推移(最近5年間)は,4-5-1-2表のとおりである。不正アクセス禁止法違反の検挙件数は,平成27年から3年連続で増加し,29年は648件(前年比29.1%増)であった。
なお,罪名ごと(罪名別の統計が存在するものに限る。)の検察庁終局処理人員は,CD-ROM資料4-6参照。