受刑者の帰住予定地を管轄する保護観察所では,刑事施設から受刑者の身上調査書の送付を受けるなどした後,保護観察官又は保護司が引受人等と面接するなどして,帰住予定地の状況を確かめ,住居,就労先等の生活環境を整えて改善更生に適した環境作りを働き掛ける生活環境の調整を実施している。この結果は,仮釈放審理における資料となるほか,受刑者の社会復帰の基礎となる。
刑の一部執行猶予制度の導入に伴う更生保護法の一部改正により,平成28年6月1日から,保護観察所が行う生活環境の調整について,地方更生保護委員会が指導・助言・連絡調整を行うこと,受刑者に対する調査を行うことが可能となり,調整機能の充実化が図られた。また,保護観察付一部執行猶予者について,猶予期間に先立って仮釈放がない場合,実刑部分の執行から猶予期間中の保護観察へ円滑に移行できるよう,地方更生保護委員会が,生活環境の調整の結果を踏まえて審理し(住居特定審理),その者が居住すべき住居を釈放前に特定することができるようになった。29年に住居特定審理を経て住居が特定された者は90人であった(保護統計年報による。)。
平成29年に生活環境の調整を開始した受刑者の人員は,3万7,878人(前年比2.8%減)であり,このうち保護観察付一部執行猶予者の人員は2,428人であった(保護統計年報による。)。
平成21年度から厚生労働省と法務省が連携して取り組む特別調整(本編第4章第2節5項,第3編第2章第4節2項(5)及び第7編第5章第1節1項参照)において,保護観察所は,高齢又は障害を有する矯正施設被収容者で,かつ,適当な帰住先のない者に対する生活環境の調整について,特別な手続を定めて実施している。