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平成30年版 犯罪白書 第1編/第3章

第3章 諸外国における犯罪動向

この章では,米国,英国(イングランド,ウェールズ,北アイルランド及びスコットランドをいう。以下この章において同じ。),フランス及びドイツの4か国の犯罪動向を紹介し,我が国と対比する。

統計資料については,国際連合(国連)薬物・犯罪事務所UNODC:United Nations Office on Drugs and Crime)(注)が実施した犯罪情勢等に関する調査(UN-CTS:United Nations Survey of Crime Trends and Operations of Criminal Justice Systems)を使用する。

前記調査においては,各犯罪を定義した上で,共通の調査票を用いて各国に照会し,回答を集計して,各国の犯罪情勢等に関する指標として公表する手法が採られている。UN-CTSで用いられている各犯罪の定義と各国における各犯罪の定義とは必ずしも一致しないため,各国がUN-CTSの犯罪の定義とは異なる定義により集計した数値を回答し,UN-CTSの統計数値として公表されることがあり得ること,各国における統計の取り方や精度は必ずしも同一ではないこと,限られた犯罪の発生件数等から各国の犯罪動向を即断することはできないことなど,留意すべき点はあるものの,これらの国の近年の犯罪指標の推移を示すことは,国際的な犯罪情勢を考察する上で参考となるものと考えられる。

本白書では,犯罪情勢を検討する上で重要な犯罪類型である殺人,強盗,窃盗及び強制性交等について,前記4か国と我が国の犯罪指標の推移(平成27年(2015年)までの最近5年間)を掲載する。なお,平成29年(2017年)5月時点におけるUN-CTSの犯罪の定義の概要については,同年版犯罪白書第1編第3章を参照されたい。また,UN-CTSの調査票では,各国は以前に回答した数値の修正をすることが可能であり,数値の変更が少なくないことや今後も数値の変更があり得ることに留意する必要がある。

注 国連薬物・犯罪事務所(UNODC)は,不正薬物及び犯罪に関する調査・分析,国連加盟国の不正薬物・犯罪・テロリズムに関する各条約の締結・実施及び国内法整備の支援,国連加盟国に対する不正薬物・犯罪・テロ対策における能力向上のための技術協力の提供等を行うほか,国連経済社会理事会の機能委員会である麻薬委員会,犯罪防止刑事司法委員会(コミッション)(第2編第6章参照)等の事務局を務めている。