この編では,まず,「再犯防止対策に関する特別世論調査」(以下この章において「世論調査」という。)の結果から犯罪や非行をした者の更生に対する国民の意識を分析した。また,各種統計資料等も用いて,刑事司法機関等と民間協力者との協働や,地方公共団体,地域の関係機関・団体等をも含めた多機関連携による更生支援の取組の現状を示すとともに,様々なコラムを通じて,先駆的な試みを含む取組の経緯や実情,各地の現場からの声を紹介した。これにより,民間協力・多機関連携による取組の今後の方向性について検討するための基礎資料を提供し,再犯防止施策に関わる更生保護ボランティア等の民間協力者や国,地方公共団体,関係機関・団体等の今後の活動の参考になるよう努めた。
この章においては,前章までの内容を踏まえ,更生を支援する様々な取組を,民間協力者によるものと多機関連携によるものとに大別して概観し,それらの現状を把握するとともに,課題を浮き彫りにした上で,民間協力者との協働の拡充や多機関連携の促進へ向けた方策について考察することを通じて,更生を支援する地域のネットワークの在り方について検討を加える。