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平成29年版 犯罪白書 第7編/第2章/第2節/コラム8

コラム8 「社会を明るくする運動」〜犯罪や非行を防止し,立ち直りを支える地域のチカラ〜中央行事「立ち直りフェスティバル」

平成29年7月1日,有楽町駅前広場において,第67回「社会を明るくする運動」の中央行事及び再犯防止推進法の施行により同年からスタートした「再犯防止啓発月間」のオープニングイベントとして,広く一般国民を対象とする広報・啓発イベント「立ち直りフェスティバル」が開催された。同運動の中央行事として同フェスティバルが有楽町駅前広場で開催されるのは前年に引き続き2回目である。

「立ち直りフェスティバル」の主なターゲットは,若年層である。「社会を明るくする運動」では,平成26年に内閣府が実施した基本的法制度に関する世論調査において,同運動に対する認知度が,20代及び30代において特に低かったことを踏まえ,近年,若年層への働き掛けを強化している。具体的には,犯罪や非行をした者が,保護司を始めとする更生保護ボランティアに支えられ立ち直る様子を,更生保護のマスコットキャラクター「更生ペンギンのホゴちゃんとサラちゃん」を用いて分かりやすく説明した4コママンガを広報資料として活用したり,タレントの鉄拳氏に同運動をテーマとするパラパラマンガを制作してもらい,全国の地域住民向け集会や運動競技場のオーロラビジョン等で上映したりするなど,若年層にとって分かりやすい形で同運動の趣旨を伝えるよう工夫している。

「更生ペンギンのホゴちゃん」のスタンプラリーの様子【写真提供:法務省保護局】
「更生ペンギンのホゴちゃん」のスタンプラリーの様子
【写真提供:法務省保護局】

「立ち直りフェスティバル」においては,「更生ペンギンのホゴちゃん」の更生を描いた4コママンガを基にしたスタンプラリーや,刑務所出所者等に新たな就労機会と社会性訓練の場を提供し,再犯防止・社会復帰を促進することをコンセプトとした居酒屋による餃子の販売,就業支援センターで保護観察対象者が育てた野菜の販売等を行い,「キャラクター」,「食」,「買物」等,若年層にとって親しみやすい切り口から様々な企画が実施された。また,トークショーでは,少年時代に非行経験のあるタレントや保護司等が出演し,それぞれの立場から犯罪や非行からの立ち直り支援への思いが語られた。非行経験のあるタレントのトークショーでは,その軽妙な話しぶりにどっと笑いが起こる一方,少年鑑別所に収容中に母親が面会に来たときの逸話や,保護司に支えられながら芸能活動を行う中で,いかに自分が更生したかという体験談には,人々が真剣な表情で聞き入っていた。報道だけでは分からない関係者の生の声に耳を傾けたり,犯罪や非行をした者の立ち直りというこれまでの実生活であまり触れる機会のなかったテーマについて考えたりすることに,国民が直接参加する行事の意義はある。

「立ち直りフェスティバル」は,多くの人々が通行する駅前広場という特性をいかし,幅広い年齢層の人々の注目を集めるとともに,行事当日の様子は,出演者や若年層を中心とする来場者のSNS等に投稿され,インターネット上での広がりも見せた。

「立ち直りフェスティバル」トークショーの様子【写真提供:法務省保護局】
「立ち直りフェスティバル」トークショーの様子
【写真提供:法務省保護局】