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平成29年版 犯罪白書 第6編/第2章/第1節/6

6 その他の被害者等支援に向けた取組

全国の地方検察庁には被害者支援員が配置され,被害者等からの相談の対応,法廷への案内や付添い,記録の閲覧,証拠品の還付請求等各種手続の援助を行っている。また,被害者等に対して被害に遭った直後から適正・確実に援助を行うことができる民間団体が犯罪被害者等早期援助団体として都道府県公安委員会により指定されている(平成29年4月1日時点で,公益社団法人被害者支援都民センター等の47団体が指定されている。警察庁長官官房の資料による。)ところ,被害者支援員は,被害者等の状況に応じて,これらの団体への紹介も行っている。

法テラス(第2編第1章6項参照)も被害者等に対する支援を行っており,その業務の内容は,電話及び各事務所を通じて,刑事手続への適切な関与,損害や苦痛の回復・軽減を図るための制度に関する情報提供を行うほか,犯罪被害者等早期援助団体等の活動内容や被害者等の支援に精通した弁護士の紹介等を行うものである。平成28年度における利用状況は,支援ダイヤルでの受電件数が1万2,014件(前年度比1,042件減),地方事務所における犯罪被害・刑事手続等の問合せ件数が1万3,825件(同445件増)であり,そのうち被害者等の支援に精通した弁護士を紹介した件数が1,677件(同74件増)であった。また,同年度における被害者参加人による被害者参加弁護士選定請求(指名通知請求)件数は,511件(請求人員延べ635人)であり,罪名別にその件数を見ると,強姦・強制わいせつ等249件(48.7%),傷害90件(17.6%),過失運転致死傷等71件(13.9%),殺人(自殺関与・同意殺人を含まない。)57件(11.2%)である(法テラスの資料による。)。なお,同年6月には総合法律支援法が一部改正され(平成28年法律第53号。30年6月2日までに全面施行),ストーカー規制法上の「つきまとい等」,児童虐待防止法上の「児童虐待」及び配偶者暴力防止法上の「配偶者からの暴力」の被害者に対し,必要な法律相談を実施することが法テラスの業務に加えられることとなった(児童虐待,配偶者間暴力及びストーカー犯罪については,第4編第6章参照)。

また,全国の法務局でも,犯罪被害者等に対する人権侵害について,相談に応じるなどしている。