仮釈放は,「改悛の状」があり,改善更生が期待できる懲役又は禁錮の受刑者を刑期満了前に仮に釈放し,仮釈放の期間(残刑期間)が満了するまで保護観察に付することにより,再犯を防止し,その改善更生と円滑な社会復帰を促進することを目的とするものであり,その審理は地方更生保護委員会が行う。
仮釈放を許す基準となる「改悛の状」があると認められるためには,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがなく,かつ,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められることが必要であるが,社会の感情がこれを是認すると認められないときは仮釈放は許されない。また,有期刑については刑期の3分の1,無期刑については10年の法定期間を経過している必要がある(少年法による特例については,第3編第3章第1節3項参照)。
仮釈放審理を開始した人員は,平成19年において1万8,128人であった後,20年から減少傾向にあり,28年は1万4,351人(前年比5.1%減)であった。このうち一部執行猶予が付された者の人員は5人であった(CD-ROM資料2-7参照)。
仮釈放が許可された人員と許可されなかった人員(仮釈放の申出が取り下げられた者を除く。)の合計に占める後者の比率は,平成17年から21年にかけては4%前後であり,その後,低下傾向にあったが,28年は3.6%(前年比1.1pt上昇)であった(CD-ROM資料2-7参照)。同年に仮釈放審理が開始された一部執行猶予者については,5人全員が同年末時点で審理中であった(保護統計年報による。)。
出所受刑者(仮釈放,一部執行猶予者の実刑部分刑期終了,又は満期釈放により刑事施設を出所した者に限る。)の人員及び仮釈放率の推移(昭和24年以降)は,2-5-1-1図のとおりである。なお,平成28年は,一部執行猶予者で仮釈放となったもの又は実刑部分刑期終了により出所したもののいずれもいなかった。
仮釈放率は,平成17年から6年連続で低下していたが,23年に上昇に転じ,28年は57.9%(前年比0.2pt上昇)であり,これを男女別に見ると,男性が56.3%(同0.2pt上昇),女性が73.0%(同0.5pt上昇)であった(矯正統計年報による。なお,高齢者の仮釈放率については4-8-2-4図参照)。
2-5-1-2図は,定期刑受刑者の仮釈放許可人員について,刑の執行率(執行すべき刑期に対する出所までの執行期間の比率)の区分別構成比の推移(昭和61年・平成8年・18年・24〜28年)を見るとともに,平成28年の同人員の刑の執行率を刑期別に見たものである。近年,刑の執行率が低い段階で仮釈放が許される者の構成比は,低下傾向にある。また,28年においては,刑期が1年を超える者では,刑期が長い者の方が,刑の執行率が低い段階で仮釈放が許される者の占める比率が低くなっている。
2-5-1-3表は,無期刑の仮釈放許可人員の推移(最近10年間)を刑の執行期間別に見たものである。