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平成29年版 犯罪白書 第2編/第5章

第5章 更生保護

更生保護の機関には,法務省に置かれている中央更生保護審査会(委員長と委員4人で組織する合議制の機関),高等裁判所の管轄区域ごとに置かれている地方更生保護委員会(3人以上15人以内の委員で組織する合議制の機関)及び地方裁判所の管轄区域ごとに置かれている保護観察所がある。中央更生保護審査会は,法務大臣への個別恩赦の申出等の権限を有し,地方更生保護委員会は,矯正施設の長からの申出等に基づき,仮釈放・仮退院の許否を決定するなどの権限を有している。保護観察所は,保護観察,生活環境の調整,更生緊急保護の実施,犯罪予防活動の促進等の業務を行っている。

更生保護に関しては,平成18年6月の「更生保護のあり方を考える有識者会議」の提言等を踏まえ,20年6月,犯罪者予防更生法(昭和24年法律第142号)と執行猶予者保護観察法(昭和29年法律第58号)を整理・統合した更生保護法が施行され,保護観察処遇等の一層の充実強化が図られている。また,平成28年6月には,刑の一部執行猶予制度が導入され(本編第1章5項参照),裁判所が刑の一部の執行を猶予する場合において,初入者等(前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者,前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その刑の全部の執行を猶予された者,前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者をいう。以下この章において同じ。)に対しては,裁量により保護観察に付することができ,薬物使用等の罪を犯した者(初入者等を除く。)に対しては,必要的に保護観察に付することになった。