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平成27年版 犯罪白書 第6編/第4章/第2節/2

2 受刑者調査
(1)基本的属性

性犯罪受刑者(1,016人)のうち,男子が1,014人(99.8%),女子が2人(0.2%)であった。国籍では,日本が981人(96.6%),日本以外が35人(3.4%)であった。

性犯罪受刑者の犯行時の年齢層別人員では,29歳以下の者が378人(37.2%)で最も多く,次いで30〜39歳の者が334人(32.9%),40〜49歳の者が150人(14.8%),50〜64歳の者が120人(11.8%),65歳以上の者が34人(3.3%)の順であった。平均年齢は35.8歳であり,最年少は16歳,最高齢は85歳であった。

罪名別人員では,強姦が488人(48.0%)と最も多く,次いで強制わいせつが338人(33.3%),条例違反が190人(18.7%)の順であった。

性犯罪受刑者に対する入所時の精神診断では,精神診断の結果が不明である10人を除き,精神障害のある者(刑事施設において,知的障害,神経症性障害又はその他の精神障害(統合失調症,気分障害並びに精神作用物質使用による精神及び行動の障害等を含む。)を有すると診断された者をいい,人格障害と診断された者を除く。)は93人(9.2%)であった。精神障害のある者の診断名の内訳は,知的障害が25人,神経症性障害が15人,その他の精神障害が53人であった。

(2)性犯罪再犯防止指導の受講状況

平成26年8月31日までに刑事施設を出所した性犯罪受刑者のうち,スクリーニング及び性犯罪者調査(本編第3章第1節1項(1)参照)の結果,性犯罪再犯防止指導(第2編第4章第2節3項(2)本編第3章第1節1項参照)の受講対象となった263人のうち,疾病等により性犯罪再犯防止指導に編入されなかった者5人を除き,255人が性犯罪再犯防止指導を終了していた。受講途中で離脱した者は3人であった。

性犯罪再犯防止指導を終了した255人の出所事由を見ると,満期釈放が89人,仮釈放が166人であった。

(3)出所状況

性犯罪受刑者のうち,平成26年8月31日までに刑事施設を出所した者の帰住先別構成比を出所事由別に見るとともに,罪名別に見ると,6-4-2-9図のとおりである。

6-4-2-9図 性犯罪受刑者 帰住先別構成比(出所事由別,罪名別)
6-4-2-9図 性犯罪受刑者 帰住先別構成比(出所事由別,罪名別)
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出所した者797人(服役中の死亡による出所の3人を除く。)の出所事由別人員は,仮釈放が427人(53.6%),満期釈放が370人(46.4%)であった。罪名別の仮釈放者の人員は,強姦の者286人のうち202人(70.6%),強制わいせつの者321人のうち176人(54.8%),条例違反の者190人のうち49人(25.8%)であった。条例違反の者に満期釈放が多い理由の一つとしては,執行刑期が短いため,仮釈放の申出や審理等の手続に必要な期間を確保することが困難であることも考えられる。今回,満期釈放になった条例違反の者141人の刑期別人員を見ると,「6月未満」が33人(23.4%),「6月以上1年未満」が68人(48.2%),「1年以上3年以下」が40人(28.4%)であった。

帰住先別構成比では,各罪名とも,仮釈放者では帰住先が「父・母」である者の割合が高く,その一方で,満期釈放者では,その割合が約3割から4割にとどまっている。また,満期釈放者では帰住先が「その他」(帰住先が不明の者を含む。)の者の割合は3割台である。