全対象者1,791人のうち,男子が1,788人(99.8%),女子が3人(0.2%)であった。国籍では,日本が1,732人(96.7%),日本以外が59人(3.3%)であった。
全対象者について,犯行時(調査対象事件中の性犯罪の犯行時をいい,調査対象事件に複数の性犯罪がある場合には最初の性犯罪の犯行時をいう。なお,犯行時が不明である場合には,検挙時をいう。以下この章において同じ。)の年齢層別構成比を見ると,6-4-2-1図のとおりである。
29歳以下の者(犯行時に少年であった者を含む。以下この章において同じ。)が633人であり,そのうち少年は40人であった。少年の年齢別人員の内訳は,16歳が3人,17歳が7人,18歳が13人,19歳が17人であり,年長少年の占める割合が高かった。裁判確定時に少年であった者は10人であり,そのうち不定期刑の実刑に処せられた者が7人,執行猶予の言渡しを受けた者が3人であった。全対象者の平均年齢は36.5歳であり,最年少は16歳,最高齢は85歳であった。
全対象者について,犯行時の居住状況を見ると,6-4-2-2図のとおりである。
配偶者(内縁関係にある者及び特定の交際相手を含む。以下この章において同じ。)と同居,配偶者以外の親族と同居及び単身居住の割合は,それぞれ3割程度であった。
全対象者の犯行時の婚姻状況(婚姻状況が不明であった者9人を除く。)は,未婚が894人(50.2%),既婚が619人(34.7%),離死別が269人(15.1%)であった。
全対象者について,教育程度(犯行時における最終学歴又は就学状況をいう。以下この章において同じ。)を見ると,6-4-2-3図のとおりである。高校卒業以上の学歴を有する者は全対象者の約6割であった。そのうち大学進学(大学在学・中退・卒業をいう。以下この章において同じ。)の者401人の内訳を見ると,大学在学中が33人,大学中退が71人,大学卒業が297人であった。
全対象者の犯行時の就労状況は,有職が1,308人(73.0%)と多く,無職が433人(24.2%),学生が50人(2.8%)であった。
全対象者について,前科(罰金以上の前科に限り,自動車運転過失致死傷等又は交通法令違反の罪名のみの前科を含まない。以下この章において同じ。)の有無別構成比を見ると,6-4-2-4図のとおりである。約半数の者に前科があり,性犯罪前科(性犯罪のみによる前科のほか,性犯罪とその他の罪名による前科を含む。以下この章において同じ。)のある者が571人(31.9%),性犯罪以外の前科のみある者が298人(16.6%)であった。
全対象者について,調査対象事件中の性犯罪(複数の異なる性犯罪の罪名が認定されている場合,そのうち法定刑の最も重いものに計上している。)の罪名別構成比を見ると,6-4-2-5図のとおりである。罪名が,強制わいせつ(わいせつ目的略取誘拐を含む。以下この章において同じ。)の者が約5割(856人)と最も多く,次いで,強姦(強盗強姦を含む。以下この章において同じ。)の者が約3割(542人),条例違反の者が約2割(393人)であった。
なお,強盗強姦は3.5%(62人),わいせつ目的略取誘拐は0.5%(9人)であった。
また,全対象者のうち,調査対象事件において,性犯罪(これと科刑上一罪とされた罪を含む。)のみが認定された者が1,338人(74.7%)であり,性犯罪以外の罪も併せて認定された者が453人(25.3%)であった。
全対象者の裁判内容を見ると,6-4-2-6図のとおりである。実刑に処せられた者が1,016人(56.7%),単純執行猶予の者が590人(32.9%),保護観察付執行猶予の者が185人(10.3%)であった。全対象者における執行猶予者の保護観察率は,23.9%であり,ほぼ同時期の平成20年及び21年の執行猶予者総数の保護観察率が8%台であったことと比較すると,全対象者の方が総数と比べて約15pt高い(CD-ROM資料2-9参照)。
実刑に処せられた者(1,016人)の刑期(不定期刑は,刑期の長期による。以下この章において同じ。)別人員の内訳は,「1年未満」が144人(14.2%),「1年以上3年以下」が383人(37.7%),「3年を超え5年以下」が208人(20.5%),「5年を超え10年以下」が189人(18.6%),「10年を超え15年以下」が40人(3.9%),「15年を超え30年以下」が43人(4.2%),無期懲役が9人(0.9%)であり,刑期が10年を超える者の割合は約1割であった。
執行猶予の言渡しを受けた者(775人)について,執行猶予の区分別の刑期別人員を見ると,「1年未満」(保護観察付執行猶予)が22人,「1年以上3年以下」(保護観察付執行猶予)が163人,「1年未満」(単純執行猶予)が140人,「1年以上3年以下」(単純執行猶予)が450人であった。
全対象者について,被害者(調査対象事件中の性犯罪における被害者をいう。以下この章において同じ。)の数を見ると,1人の者は1,368人(76.4%)であり,複数の者は423人(23.6%)であった(被害者の数は,実人員でなく,延べ人員であり,調査対象事件に同一人を被害者とする複数の性犯罪がある場合は,犯罪事実ごとに被害者数を計上している。)。
全対象者のうち,強姦と強制わいせつといった複数の異なる性犯罪の罪名が認定されている者(157人)を除いた1,634人について,罪名別人員を見ると,強姦が418人,強制わいせつが823人,条例違反が393人であった。それらの者について,被害者の数を見ると,強姦では,被害者1人の者が315人,被害者2人の者が62人,被害者3人以上の者が41人であり,強制わいせつでは,被害者1人の者が677人,被害者2人の者が84人,被害者3人以上の者が62人であり,条例違反では,被害者1人の者が354人,被害者2人の者が24人,被害者3人以上の者が15人であった。
全対象者のうち,被害者が女子のみであった者が1,772人(98.9%),被害者が男子のみであった者が16人(0.9%),男女双方を被害者とする者が3人(0.2%)であった。
全対象者(被害者の年齢が不明であった者7人を除く。)のうち,被害者に13歳未満の者を含む者は208人(11.7%),被害者に13歳未満の者を含まない者は1,576人(88.3%)であった。
被害者に13歳未満の者を含む208人について詳しく見ると,被害者が13歳未満の者のみの者が182人,13歳未満の被害者と13歳以上の被害者の両方を含む者が26人であった。
男子のみを被害者とする16人について,被害者の年齢を見ると,被害者が13歳未満の者のみである者が8人,被害者が13歳以上の者のみの者が8人であった。男女双方を被害者とする3人について,被害者の年齢を見ると,被害者はいずれも13歳未満であった。
また,被害者に13歳未満の者を含む208人について,犯行時の年齢層を見ると,19歳以下が5人(2.4%),20〜29歳が53人(25.5%),30〜39歳が64人(30.8%),40〜49歳が28人(13.5%),50〜64歳が36人(17.3%),65歳以上が22人(10.6%)であった。
全対象者(被害者の年齢が不明であった者7人を除く。)のうち,複数の異なる性犯罪の罪名が認定されている者を除いた1,627人について,罪名別に,13歳未満の被害者の有無別構成比を見ると,6-4-2-7図のとおりである。強制わいせつでは,強姦や条例違反と比べて被害者に13歳未満の者を含む者の割合が高かった。
全対象者について,被害者との関係を見ると,親族(対象者の実子でない配偶者の子を含む。以下この章において同じ。)を含む者が55人(3.1%),親族以外の面識のある者(友人,知人及び職場関係者等をいう。以下この章において同じ。)を含む者が349人(19.5%),面識のある者を含まない者が1,387人(77.4%)であった。
被害者に親族を含む55人について,被害者との関係を詳しく見ると,実子を含む者が14人,配偶者の子を含む者が29人,その他の親族を含む者が12人であった。
全対象者のうち,複数の異なる性犯罪の罪名が認定されている者を除いた1,634人について,罪名別に,被害者との関係を見ると,6-4-2-8図のとおりである。強姦では,強制わいせつや条例違反と比べて親族以外の面識のある者を含む者の割合が高かった。
なお,被害者に13歳未満の者を含む者(208人)のうち,複数の異なる性犯罪の罪名が認定されている者(23人)を除いた185人について,罪名別に,被害者との関係を見ると,次のとおりである。強姦(30人)では,実子を含む者が4人,配偶者の子を含む者が6人,その他の親族を含む者はおらず,親族以外の面識のある者を含む者が14人,面識がある者を含まない者が6人であった。強制わいせつ(140人)では,実子を含む者が5人,配偶者の子を含む者が6人,その他の親族を含む者が5人,親族以外の面識のある者を含む者が47人,面識がある者を含まない者が77人であった。条例違反(15人)では,全員が面識のある者を含まない者であった。