平成26年に検察庁において心神喪失を理由に不起訴処分に付された被疑者(一般刑法犯及び道交違反を除く特別法犯に限る。)は,589人であった(2-2-3-3表参照)。また,同年に通常第一審において心神喪失を理由に無罪となった者は,5人であった(最高裁判所事務総局の資料による。)。
検察庁では,知的障害の疑いのある被疑者や高齢の被疑者等福祉的支援を必要とする者について,再犯防止・社会復帰支援の観点から福祉的なサービスに橋渡しした上,これを検察庁における処分や裁判での求刑をする際の判断材料とする取組が行われている。長崎,大津及び仙台等の各地方検察庁においては,地域生活定着支援センター等と連携し,福祉の専門家が障害の程度や福祉支援の必要性を論議する専門の委員会の意見を踏まえるなどした上,福祉的支援に橋渡しすることを前提とした,起訴猶予処分をしたり,求刑において,保護観察付執行猶予に付するよう意見を述べるなどしている。また,東京,大阪等の各地方検察庁においては,社会復帰支援室等を設置して社会福祉士等を配置し,福祉の視点でアドバイスを行うとともに,適宜福祉的サービスに橋渡しするなどの運用をしている。