刑事確定記録を用いた特別調査においては,調査対象事件の裁判確定から約2年後となる平成25年6月末までの間に,調査対象者が再び有罪判決を受けて裁判が確定した事件の内容についても刑事確定記録を用いた特別調査を実施し,そのうち犯行日が調査対象事件の起訴後(複数の起訴がある場合には最後の起訴後)である事件(以下この章において「再犯」という。)を抽出した上で,再犯の状況等について分析した。
以下この項では,罰金処分者の再犯状況について分析する。
罰金処分者について,再犯率(調査対象事件の起訴後に再犯を行った者の比率をいう。以下この章において同じ。)を総数と男女別で見ると,6-4-3-2-1図のとおりである。再犯率は総数では27.7%であり,男子は26.6%,女子は29.5%であった。
罰金処分者について,犯行時の年齢層別の再犯率を男女別に見ると,6-4-3-2-2図のとおりである。女子の高齢者は,調査対象事件の起訴後に窃盗による再犯(窃盗のみによる再犯のほか,これとその他の罪名の犯罪による再犯を含む。以下「窃盗再犯」という。)を行った者の比率(以下「窃盗再犯率」という。)が男子の高齢者よりも高かった。
罰金処分者について,前科の有無別の再犯率を男女別に見ると,6-4-3-2-3図のとおりである。男子は,前科のない者の方が前科のある者よりも再犯率が低い。これに対し,女子は,前科の有無と再犯率との間に明確な関連までは認められなかった。
罰金処分者について,窃盗の前科前歴の有無別の再犯率を男女別に見ると,6-4-3-2-4図のとおりである。男子は,窃盗の前科前歴のない者の方が,窃盗前歴のある者や窃盗前科のある者と比べて窃盗再犯率が低かった。女子は,窃盗の前科前歴のない者の方が窃盗前科のある者と比べて窃盗再犯率が低かった。
前科のない罰金処分者について,窃盗前歴の有無及び回数別に再犯率を見ると,6-4-3-2-5図のとおりである。窃盗前歴のある者の方が窃盗前歴のない者よりも窃盗再犯率が高かった。また,窃盗前歴の回数が増えるにつれて再犯率が高くなる傾向にあった。
前科のない罰金処分者について,窃盗による微罪処分歴の有無別の再犯率を男女別に見ると,6-4-3-2-6図のとおりである。男女共に,微罪処分歴のない者よりも微罪処分歴のある者の方が窃盗再犯率は高かった。
再犯を行った罰金処分者について,再犯期間(調査対象事件の裁判確定日から再犯の犯行日までの期間をいい,複数の再犯がある場合には最初の犯行日による。以下この章において同じ。)別構成比を男女別に見ると,6-4-3-2-7図のとおりである。男女共に,再犯を行った者のうち約5割が6か月未満のうちに再犯に及んでいる。
罰金処分者について,調査対象事件の起訴後一定の期間までに窃盗再犯を行った者の累積人員の比率(以下「窃盗累積再犯率」という。)を総数と男女別で見ると,6-4-3-2-8図のとおりである。3か月未満までは男女共にほぼ同様に上昇しているが,その後は,女子の方が男子よりもやや上回っている状況が続いている。