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平成26年版 犯罪白書 第6編/第4章/第3節/1

1 罰金処分者の属性及び調査対象事件の内容
(1)概要

罰金処分者の総数は766人であった。そのうち,男子は485人(63.3%)であり,女子は281人(36.7%)であった。女子の割合は,全対象者の場合(20.3%)と比べて高い。国籍等別では,日本が732人(95.6%)と圧倒的に多く,次いで,韓国・朝鮮15人(2.0%),中国13人(1.7%),ベトナム3人(0.4%)の順であった。

罰金処分者の調査対象事件における窃盗の事件数は,延べ849件であり,そのうち734件(86.5%)が万引きを手口とするものであった。また,罰金処分者一人当たりの窃盗の平均事件数は1.1件であった。

(2)罰金処分者の属性
ア 年齢層

罰金処分者について,犯行時の年齢層別構成比を男女別で見ると,6-4-3-1-1図のとおりである。男女共に,50〜64歳の者の割合が最も高かった。50歳以上の者の割合は,女子(58.4%)の方が男子(47.8%)よりも高かった。また,高齢者の割合も,女子の方が男子よりも高かった。これに対し,若年者の割合は,男子が女子の2倍以上であった。

6-4-3-1-1図 罰金処分者 年齢層別構成比(男女別)
6-4-3-1-1図 罰金処分者 年齢層別構成比(男女別)
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イ 居住状況

罰金処分者について,犯行時(複数の窃盗事件がある場合には最初の犯行日をいう。以下,特に断らない限り,この章において同じ。)における住居の有無別構成比を男女別に見ると,6-4-3-1-2図のとおりである。男女共に,自宅(賃貸を含む。)に居住していた者が大半を占める。住居不定の者の割合は,男子の方が女子よりも顕著に高かった。

なお,住居不定の罰金処分者(71人)のうち,その大半は,略式命令ではなく,通常裁判により罰金に処せられた者(61人)であった。また,年齢層別では,50〜64歳の者(31人)の割合が最も高かった。

6-4-3-1-2図 罰金処分者 住居の有無別構成比(男女別)
6-4-3-1-2図 罰金処分者 住居の有無別構成比(男女別)
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6-4-3-1-3図は,犯行時に住居(自宅以外の住居を含む。)のあった者について,同居人の有無別構成比を男女別に見たものである。男女共に,同居人と暮らしている者が過半数を占めており,特に女子は,その割合が高かった。男子は,単身居住者の割合(39.6%)が女子(20.7%)に比べて顕著に高く,交流のある近親者がいない単身居住者の割合も,女子の約3倍であった。

6-4-3-1-3図 罰金処分者 同居人の有無別構成比(男女別)
6-4-3-1-3図 罰金処分者 同居人の有無別構成比(男女別)
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なお,男子の罰金処分者は,住居不定の者及び交流のある近親者がいない単身居住者の割合が27.8%(135人)であり,女子における割合6.8%(19人)の約4倍であった。

ウ 婚姻歴

罰金処分者について,犯行時の婚姻状況別構成比を男女別に見ると,6-4-3-1-4図のとおりである。男女共に,婚姻歴のある者が過半数を占めており,特に女子は約8割が婚姻歴を有していた。男子は,約4割が婚姻歴のない者で占めており,婚姻歴がある者であっても,そのうちの5割以上の者が配偶者との離別(犯行時に離婚していた場合のほか,婚姻関係が事実上破綻していた場合を含む。以下この章において同じ。)又は死別により婚姻関係の継続していない者であった。

6-4-3-1-4図 罰金処分者 婚姻状況別構成比(男女別)
6-4-3-1-4図 罰金処分者 婚姻状況別構成比(男女別)
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エ 就労状況

罰金処分者について,犯行時の就労状況別構成比を男女別で見ると,6-4-3-1-5図のとおりである。無職者(学生・生徒及び主婦・家事従事は含まない。以下この章において同じ。)は,総数では約5割を占めているが,その割合は男子の方が女子よりも高かった。女子は,主婦・家事従事の割合が約4割と無職者と同程度に高かった。

6-4-3-1-5図 罰金処分者 就労状況別構成比(男女別)
6-4-3-1-5図 罰金処分者 就労状況別構成比(男女別)
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6-4-3-1-6図は,無職者について無職理由別構成比を男女別に見たものである。男女共に,年金を受給しているなどの事情により就労の必要がない者の割合が最も高く,とりわけ女子は4割以上を占めていた。男子は,就職難を理由とする者が約2割を占めるが,勤労意欲がない者もほぼ同数を占めている。

6-4-3-1-6図 罰金処分者 無職者の無職理由別構成比(男女別)
6-4-3-1-6図 罰金処分者 無職者の無職理由別構成比(男女別)
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なお,有職者(不安定就労を含む。)の犯行時までの勤続期間(勤続期間が不明の者を除く。)は,3年以上の者が45.3%(92人)を占めており,1年以上3年未満の者が16.7%(34人),1年未満の者は37.9%(77人)であった。

オ 経済状況
(ア)安定収入の有無

罰金処分者の犯行時の収入(学生・生徒や主婦等の場合には,家族からの仕送り又は配偶者の収入を含む。)について見ると,収入の有無が不明な者(81人)を除き,総数(685人)では安定収入のある者が77.2%(529人)を占めており,男女別ではその割合は女子(91.8%)の方が男子(69.2%)よりも高かった。

安定収入がある者について,犯行時における収入額(1か月間の手取額)を見ると,10万円を超え20万円以下の者は43.9%(232人),10万円以下の者は31.0%(164人),20万円を超える者は25.1%(133人)であった。

(イ)資産・負債の有無

犯行時における資産状況について見ると,資産の有無が不明な者(40人)を除き,総数(726人)では資産のある者が50.7%(368人)を占めており,男女別ではその割合は女子(63.7%)の方が男子(43.6%)よりも高かった。資産のある者のうち,100万円以上の預貯金のある者は29.6%(109人)であった。

犯行時における負債状況について見ると,負債の有無が不明な者(123人)を除き,総数(643人)では借金・債務のない者が73.4%(472人)であり,男子は70.8%,女子は78.2%であった。

カ 精神疾患歴の有無

罰金処分者のうち,精神疾患(その疑いがある旨の診断を含む。以下この章において同じ。)の既往歴のある者は105人(男子49人,女子56人)であり,罰金処分者に占める割合は,女子(19.9%)の方が男子(10.1%)よりも高かった。

精神疾患の既往歴のある者について,その診断名別内訳(重複計上による。)を見ると,鬱病等の気分障害(52人)が最も多く,次いでアルコール依存症(13人),統合失調症(12人),摂食障害(12人),パニック障害(7人)の順に多かった。男女共に気分障害が最も多いが,男子は,気分障害(22人)に次いで,アルコール依存症(11人),統合失調症(8人)が多いのに対し,女子では,気分障害(30人)に次いで,摂食障害(11人)が多かった。

キ 前科・前歴
(ア)前科の有無・内容
A 概要

罰金処分者について,前科(自動車運転過失致死傷・業過又は交通法令違反の罪名のみの前科を含まない。以下この章において同じ。)の有無別構成比を男女別に見ると,6-4-3-1-7図のとおりである。男子は,前科のない者が約6割で,窃盗前科(窃盗のみによる前科のほか,窃盗とその他の罪名による前科を含む。以下この節において同じ。)のある者も2割であった。また,女子は,男子と比べると,前科のない者の割合が高かった。

6-4-3-1-7図 罰金処分者 前科の有無別構成比(男女別)
6-4-3-1-7図 罰金処分者 前科の有無別構成比(男女別)
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B 窃盗前科の内容
(A)窃盗前科の科刑状況

罰金処分者のうち窃盗前科のある者について,窃盗前科の科刑状況別構成比を男女別に見ると,6-4-3-1-8図のとおりである。男子は,窃盗による懲役前科(以下この節において「窃盗懲役前科」という。)のある者が約6割を占めていた。これに対し,女子は,窃盗による罰金前科(以下この節において「窃盗罰金前科」という。)のみの者が約8割を占めており,その割合は男子に比べて顕著に高かった。

6-4-3-1-8図 窃盗前科のある罰金処分者 窃盗前科の科刑状況別構成比(男女別)
6-4-3-1-8図 窃盗前科のある罰金処分者 窃盗前科の科刑状況別構成比(男女別)
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窃盗懲役前科のある者の総数は72人であり,男女別の内訳は男子63人,女子9人であった。主たる犯行の犯行時の年齢層別構成比で見ると,50〜64歳の者(25人)及び65歳以上の者(24人)の順に高く,50歳以上の者が約7割を占めている。

これに対し,窃盗罰金前科のある者の総数は76人(そのうち窃盗罰金前科のみの者は72人)であった。男女別の内訳は男子37人,女子39人であり,窃盗懲役前科の場合とは異なり,男女別の構成比がほぼ同数であった。主たる犯行の犯行時の年齢層別構成比で見ると,65歳以上の者(26人)及び50〜64歳の者(23人)の順に高く,50歳以上の者が6割以上を占めている。

(B)窃盗前科の回数

窃盗前科のある罰金処分者について,窃盗前科の回数別構成比を総数と窃盗懲役前科・窃盗罰金前科の別で見ると,6-4-3-1-9図のとおりである。総数では,窃盗前科1回の者が約8割を占めている。窃盗懲役前科のある者では,窃盗懲役前科1回のみの者の割合が最も高いが,窃盗懲役前科2回以上の者も約4割を占めている。

これに対し,窃盗罰金前科については,窃盗罪に罰金刑が導入されてから調査対象事件の裁判確定まで約5年間が経過しているところ,窃盗罰金前科1回の者がほとんどであった。窃盗罪により罰金に処せられた経験が調査対象事件で2回目以上となる者は76人であり,罰金処分者の約1割を占めていた。

6-4-3-1-9図 窃盗前科のある罰金処分者 窃盗前科の回数別構成比
6-4-3-1-9図 窃盗前科のある罰金処分者 窃盗前科の回数別構成比
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(C)窃盗前科の手口

窃盗前科のある罰金処分者について,窃盗前科の手口別内訳(重複計上による。)を見ると,窃盗懲役前科では,侵入窃盗(34人)が最も多く,次いで万引き(14人),その他の非侵入窃盗(12人),自動車盗(11人)の順であった。これに対し,窃盗罰金前科では,万引き(72人)がほとんどであった。

(イ)前歴の有無・内容
A 概要

前科のない罰金処分者について,起訴されていない前歴(自動車運転過失致死傷・業過又は交通法令違反の前歴を除き,少年時の前歴を含む。以下この章において同じ。)の有無別構成比を男女別で見ると,6-4-3-1-10図のとおりである。男女共に,前歴のある者が大半を占めており,とりわけ女子は窃盗前歴のある者が約9割であった。

6-4-3-1-10図 前科のない罰金処分者 前歴の有無別構成比(男女別)
6-4-3-1-10図 前科のない罰金処分者 前歴の有無別構成比(男女別)
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B 窃盗前歴の内容
(A)窃盗前歴の回数

前科のない罰金処分者のうち,起訴されていない窃盗前歴のある者について,窃盗前歴の回数別構成比を男女別と年齢層別で見ると,6-4-3-1-11図のとおりである。男女共に,2回以上の窃盗前歴を有する者が過半数を占め,その割合は女子の方が男子よりも高かった。年齢層別では,2回以上の窃盗前歴を有する者の割合は,若年者は5割弱であるが,高齢者は約8割と高い。

6-4-3-1-11図 前科のない罰金処分者 窃盗前歴の回数別構成比(男女別,年齢層別)
6-4-3-1-11図 前科のない罰金処分者 窃盗前歴の回数別構成比(男女別,年齢層別)
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(B)微罪処分歴の有無・回数

前科のない罰金処分者のうち,窃盗の微罪処分歴の有無・回数別構成比を男女別で見ると,6-4-3-1-12図のとおりである。男女共に微罪処分歴のある者が過半数を占め,その割合は,女子の方が男子よりも顕著に高い。また,微罪処分歴が2回以上の者の割合も,女子の方が男子よりも高かった。

6-4-3-1-12図 前科のない罰金処分者 窃盗の微罪処分歴の有無・回数別構成比(男女別)
6-4-3-1-12図 前科のない罰金処分者 窃盗の微罪処分歴の有無・回数別構成比(男女別)
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(C)窃盗前歴の手口

窃盗前歴のある罰金処分者について,起訴されていない窃盗前歴の手口別内訳(重複計上による。)を見ると,万引き(572人)が最も多く,次いで自転車盗(61人),その他の非侵入窃盗(39人)の順であった。

(3)調査対象事件の内容
ア 手口

罰金処分者の調査対象事件について,主たる犯行の手口別構成比を男女別に見ると,6-4-3-1-13図のとおりである。男女共に,万引きが大半を占めており,とりわけ女子は万引きの割合が圧倒的に高かった。これに対し,男子は,万引き以外の手口も2割を占めており,その手口の内訳は,自転車盗(構成比3.7%),置引き(同3.7%),色情ねらい(同1.6%),職場ねらい(同1.4%)などであった。

6-4-3-1-13図 罰金処分者 主たる犯行の手口別構成比(男女別)
6-4-3-1-13図 罰金処分者 主たる犯行の手口別構成比(男女別)
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イ 被害状況

罰金処分者の調査対象事件のうち,窃盗未遂の事件は8件であり,窃盗既遂の事件は841件であった。窃盗既遂の事件について,1件当たりの被害額を見ると,6-4-3-1-14図のとおりである。1万円未満の事件が8割近くを占めており,3,000円未満の事件の割合も5割を超えている。万引きを手口とする事件に限ると,1件当たりの被害額が1万円未満の事件は総数の84.1%,3,000円未満の事件は59.6%,1,000円未満の事件は31.5%であった。

6-4-3-1-14図 罰金処分者 被害額別構成比
6-4-3-1-14図 罰金処分者 被害額別構成比
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被害金品の別で見ると,物品のみが窃取された事件(809件)が圧倒的に多く,現金が窃取された事件は32件であった。物品が窃取された事件の総数は828件であり,1件当たりの被害物品の点数を見ると,10点以下の事件が総数の77.2%(639件)を占めており,5点以下は58.0%(480件),1点のみの事件は19.3%(160件)であった。

検挙後の被害回復の状況について見ると,窃盗既遂の罰金処分者(758人)のうち,被害金品の全部が還付された者は89.1%(675人)を占めており,被害金品の一部還付の者(28人)も含めると,9割以上の者(703人)が還付済みの者であった。また,金銭賠償による積極的弁償措置(一部弁償を含む。以下この章において同じ。)を行った者は,窃盗既遂の罰金処分者のうち38.4%(291人)であった。

ウ 動機・背景事情

刑事確定記録を用いた特別調査においては,窃盗事犯に至る動機・理由及び背景事情・原因(以下「動機・背景事情」という。)として想定し得る項目をあらかじめ複数設定した上で,主として調査対象者の捜査段階及び裁判時における供述内容を基に,犯行に至った動機・背景事情として前記項目に該当するものを選別して集計する調査を行った(重複計上による。以下この章において同じ。)。

罰金処分者について,犯行に至った動機・背景事情として該当する比率の高かった項目を男女別で見るとともに,これを年齢層別で見ると,6-4-3-1-15図のとおりである。

動機については,男女共に,各年齢層を通じて,「自己使用・費消目的」(空腹,換金又は収集目的以外の動機による自己使用又は費消の目的をいう。以下同じ。),「生活困窮」及び「節約」の比率が高い。「軽く考えていた」の比率も,男女共に,30歳以上の年齢層で比較的上位にある。男子は,各年齢層を通じて「自己使用・費消目的」の比率が最も高いのに対し,女子は,30歳以上の年齢層では「節約」の比率が最も高い。また,男子は,若年者及び30歳代で「換金目的」の比率が比較的上位にあり,30歳以上の年齢層では「空腹」の比率が比較的上位にある。これに対し,女子は,若年者及び高齢者を除き,「盗み癖」の比率が比較的上位にあり,50歳以上の年齢層では「ストレス発散」の比率も比較的上位にある。

背景事情については,男子は,各年齢層を通じて,「家族と疎遠・身寄りなし」の比率が高いほか,「住居不安定」,「収入減」,「就職難」等といった経済的要因の比率も高く,30歳代及び40歳代では「習慣飲酒・アルコール依存」の比率が,高齢者では「ギャンブル耽溺」の比率が比較的上位にある。これに対し,女子は,各年齢層を通じて,「体調不良」(摂食障害又はてんかん以外の理由による体調不良をいう。以下同じ。)の比率が高いほか,「親子兄弟等とのトラブル」,「配偶者等とのトラブル」,「近親者の病気・死去」等といった家庭的要因の比率が高く,また30歳代では「摂食障害」が比較的上位にある。

6-4-3-1-15図 罰金処分者 動機・背景事情(男女別,年齢層別)
6-4-3-1-15図 罰金処分者 動機・背景事情(男女別,年齢層別)
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エ 共犯者の有無等

罰金処分者について,主たる犯行についての共犯者の有無について見ると,共犯者のいない者(738人)が9割以上を占めていた。

なお,主たる犯行の手口が万引きである罰金処分者のうち,犯行時に自己の子等の同行者(共犯者を除く。)がいたにもかかわらず,万引きをした者の割合は6.2%(41人)であり,女子(8.8%)の方が男子(4.4%)よりも高かった。

オ 被害店舗との関係(万引き)

罰金処分者のうち主たる犯行の手口が万引きの者について,調査対象事件における被害店舗との関係を見ると,6-4-3-1-16図のとおりである。平素から客として来店していた店舗において万引きを行った者は,総数の約6割(352人)を占めており,万引きが買い物という日常生活の場面においても行われる犯行であることを示している。

また,同一店舗での万引き経験のある者は,万引きを主たる手口とする罰金処分者の28.1%(161人)を占めており,そのうちの8割以上(135人)が起訴されていない窃盗前歴又は微罪処分歴を有する者であった。さらに,万引きにより同一店舗で検挙された経験のある者は41人であり,そのうちの約8割(33人)は,窃盗前歴はあるものの,窃盗前科のない者であった。

6-4-3-1-16図 罰金処分者(万引き) 被害店舗との関係別構成比
6-4-3-1-16図 罰金処分者(万引き)  被害店舗との関係別構成比
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(4)罰金処分者の科刑状況

略式命令により罰金に処せられた者は671人(構成比87.6%)であり,通常裁判で罰金に処せられた者は95人(同12.4%)であった。

罰金額別の科刑状況について見ると,罰金額20万円の者の割合が47.8%と最も高く,次いで30万円(同34.7%),40万円(同5.6%),10万円(同5.2%),50万円(同5.1%)の順であった。

罰金刑の執行状況について見ると,罰金額を完納した者が583人(同76.1%)と最も多く,労役場留置により刑の執行を終えた者が93人(同12.1%)であった。