この項では,調査対象事件の裁判確定から約2年後となる平成25年6月末日までの間に,全対象者のうち,再び有罪判決を受けて裁判が確定した者の有無等を見る。なお,罰金処分者,前科のない万引き事犯者及び前科のない侵入窃盗事犯者に関する各調査(本章第3節から第5節)においては,調査対象事件の裁判確定後に有罪判決が確定した事件の内容についても刑事確定記録を用いた調査を実施しているが,これら以外の調査対象者については,裁判書等の資料に基づいた調査にとどまっているため,この項における「再犯」には,調査対象事件の裁判確定前の余罪が含まれている可能性があり,厳密な意味での再犯状況ではないことに留意する必要がある。
全対象者についての再犯状況を見ると,全対象者のうち再犯ありの者は,475人(19.6%)であった。このうち,窃盗による再犯のある者は409人(再犯ありの者の86.1%)であった。
全対象者の再犯の有無別構成比(前記のとおり,この項における「再犯」には,調査対象事件の裁判確定前の余罪が含まれている可能性があるため,次節以降の「再犯率」とは別の用語を使うこととする。)を男女別,年齢層別で見ると,6-4-2-4図のとおりである。再犯ありの者は,その割合が高い順に,女子の40〜49歳,同65歳以上,同50〜64歳であった。
6-4-2-5図は,全対象者のうち,執行猶予付きの懲役又は罰金に処せられた者について,再犯の有無別構成比を調査対象事件における裁判内容別に見たものである。保護観察付執行猶予の懲役に処せられた者の方が,単純執行猶予の懲役や罰金に処せられた者と比べて,再犯ありの割合が高い。
6-4-2-6図は,全対象者の再犯の有無別構成比を主たる犯行の手口別に見たものである。再犯ありの割合が20%を超えている手口は,割合が高い順に,自転車盗,万引き,さい銭ねらい,オートバイ盗であった。