人身取引は重大な人権侵害であり,刑法の改正(平成17年法律第66号)により人身売買罪が創設されたほか,平成21年12月には,犯罪対策閣僚会議により人身取引対策行動計画2009が策定され,この計画に基づき,国及び地方公共団体は,その業務遂行の過程で人身取引被害者を発見,認知するよう積極的な対応に努め,警察,入国管理局,労働基準監督署等においても,違法事犯取締りの過程で人身取引被害者の発見に努めている。発見された女性の人身取引被害者については,必要に応じ,婦人相談所等が一時保護を行い,又は民間シェルター等に一時保護を委託するなどして,その保護を行っており,婦人相談所等が一時保護を行った被害者数は,24年度は13人(17年度以降の累計で323人)であった(厚生労働省雇用均等・児童家庭局の資料による。)。また,退去強制手続において,対象者が不法在留等の状態にあっても,人身取引被害者である場合には,在留特別許可を付与できることとされ,25年には4人(17年以降の累計では141人)の人身取引被害者全員に在留特別許可が付与された(法務省入国管理局の資料による。)。
このほか,国際移住機関(IOM)は,警察,入国管理局,婦人相談所等と連携し,人身取引被害者に対する帰国支援等の事業を行っており,平成25年には2か国12人(17年以降の累計で6か国252人)に対する帰国支援が行われた(国際移住機関の資料による。)。