保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対する処遇は,基本的に,特定暴力対象者に対する処遇,専門的処遇プログラム及び中間処遇制度を除き,仮釈放者及び保護観察付執行猶予者についてと同様である(第2編第5章第2節2項P79参照)が,以下のような取組も行っている。
少年の保護観察対象者についても類型別処遇が実施されている(第2編第5章第2節2項(2)アP79参照)。なお,保護観察処分少年のうち,交通短期保護観察及び短期保護観察の対象者については,類型別処遇は適用されないが,一定期間を超えて保護観察を継続する場合等,一般の例による保護観察処遇へ移行したときは,類型別処遇の対象となる。
平成25年末における保護観察処分少年及び少年院仮退院者の主要な類型の認定状況は,3-2-5-4表のとおりである。
殺人等の凶悪重大な事件を起こした保護観察処分少年及び少年院仮退院者は,少年の持つ問題性が極めて複雑・深刻であるため,段階別処遇において最上位の段階に編入し,保護観察官の関与を深め,社会適応力を涵(かん)養するほか,しょく罪指導プログラムによる処遇を行うなどして被害者等の意向も踏まえ謝罪にも努めさせている(第2編第5章第2節2項(2)オP81参照)。
仮釈放者及び保護観察付執行猶予者のように,専門的処遇プログラムによる処遇を受けることを特別遵守事項として義務付けることは,保護観察処分少年及び少年院仮退院者に対しては行っていないものの,その者の自発的意思等に基づいて,専門的処遇プログラムが実施されることがある(第2編第5章第2節2項(2)ウP80参照)。
平成23年度から,成人を含めた保護観察処遇の一環として,社会貢献活動を保護観察対象者の同意に基づき,先行実施している(社会貢献活動の内容や参加人員等については,第2編第5章第2節2項(5)P82参照)。
また,従前から,主として少年の保護観察対象者に対して,社会性を育み,社会適応能力を向上させることを目的として,陶芸教室・料理教室等での学習,農作業,スポーツ活動等を行わせる社会参加活動を実施している。
なお,従来社会参加活動として実施されてきた活動のうち,公共の場所での清掃活動や福祉施設での介護補助活動等,レクリエーションとしての要素を含まない活動の多くは,社会貢献活動の先行実施以降,社会貢献活動として実施されるようになった。
少年の保護観察対象者についても計画的な就労支援が実施されているが,その一環として,平成19年10月から,農業に就く意思のある少年院仮退院者等を宿泊させて,指導監督や農業実習を通じた就労支援を行うことを目的とした沼田町就業支援センターが運営されている(第2編第5章第2節2項(6)P82参照)。
保護観察所においては,保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護者に対し,少年が20歳に達するまでの間,少年の生活実態等を把握して適切にその監護に当たるべきことや,少年の改善更生を妨げていると認められる保護者の行状を改めるべきことなどについて指導又は助言を行うほか,保護者会を開催して,保護者同士が親子関係等について自由に語り合える場や,保護者が専門家から子供との接し方等のアドバイスを受ける場を設けるなどすることによって,少年の非行に関連する問題の解消に資する情報の提供等を行っている。