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平成25年版 犯罪白書 第7編/第3章/第2節/4

4 生活・環境等
(1)保護者の状況

調査対象者の保護者の状況を見ると,父がいる者は78人,母がいる者は97人であるが,このうち,母が実母である者が93人(調査対象者総数の90.3%)であるのに対し,父が実父である者は44人(同42.7%)にすぎない。

7-3-2-4-1図は,調査対象者の保護者の日本人・外国人の別を見たものである。保護者が外国人のみである場合,すなわち,父母とも外国人の家庭,母が外国人の母子家庭及び父が外国人の父子家庭が約7割を占めている。また,母が外国人である者の比率が高く,母がいる者97人中95人である。


7-3-2-4-1図 保護者の状況(構成比)
7-3-2-4-1図 保護者の状況(構成比)
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実父母がいる者41人のうち,片方の親が国外に居住している者が24.4%,両親とも国外に居住している者が7.3%である。また,調査対象者の本件非行時の居住状況を見ると,家族と同居していた者は62.1%であり,日本人入院者(81.4%)と比べて著しく低い。

次に,保護者が外国人である場合の当該保護者の日本語能力を見たのが7-3-2-4-2図である。調査対象者のほとんどが出院時に日常会話可となる(7-3-2-5-3図参照)のに対し,保護者で日常会話可の者は3割以下である。調査対象者の来日時期や来日から本件非行時までの期間(本節2項(2)参照)に照らすと,保護者の日本滞在も長期に及んでいる場合が少なくないと思われるが,その相当数について,日本語能力は低いままであることがうかがえる。


7-3-2-4-2図 外国人保護者の日本語能力(構成比)
7-3-2-4-2図 外国人保護者の日本語能力(構成比)
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(2)家庭の経済状況

調査対象者の家庭の経済状況を日本人入院者と比べたのが7-3-2-4-3図である。日本人入院者と比べて「貧困」の割合が高い。特に,実父又は実母のみの家庭の者(22人)では,「貧困」が6割を超えている。


7-3-2-4-3図 家庭の経済状況(構成比)
7-3-2-4-3図 家庭の経済状況(構成比)
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(3)日本語能力

7-3-2-4-4図は,調査対象者の入院時の日本語能力及び日常の使用言語を見たものである。日常会話可の者は約8割である。一方で,日常の使用言語が日本語であるとする者は5割強である。


7-3-2-4-4図 日本語能力・日常の使用言語(構成比)
7-3-2-4-4図 日本語能力・日常の使用言語(構成比)
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調査対象者の日常の使用言語を,来日時年齢類型別に見たのが7-3-2-4-5図である。高い年齢で来日した者ほど,日常の使用言語が日本語である者の割合が低いが,日本で出生した者や小学校期以前に来日した者であっても,日常の使用言語が日本語以外の者が少なからず見られる。


7-3-2-4-5図 来日時年齢類型と日常の使用言語(構成比)
7-3-2-4-5図 来日時年齢類型と日常の使用言語(構成比)
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(4)教育程度

7-3-2-4-6図は,調査対象者の教育程度を日本人入院者と比べたものである。国により教育制度が異なるものの,日本人入院者にはほぼいない「小学校中退・卒業等」や「中学校中退」といった,我が国でいう義務教育レベルの教育を修了しないまま最終学歴となっている者が少なからず見られるほか,これらに中学校在学及び中学校卒業の者を加えた割合は,約6割であり,日本人入院者と比べて高い。


7-3-2-4-6図 教育程度(構成比)
7-3-2-4-6図 教育程度(構成比)
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次に,調査対象者の教育程度を「中学校未修了」(小学校中退・卒業等,中学校中退・在学)と「中学校卒業以上」に,入院時の日本語能力を「日常会話可」と「日常会話不可」にそれぞれ二分した上で,両者の関連を見たのが7-3-2-4-7図である。「中学校未修了」の者は「中学校卒業以上」に比べて,「日常会話不可」の割合が高い。


7-3-2-4-7図 教育程度と日本語能力(構成比)
7-3-2-4-7図 教育程度と日本語能力(構成比)
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(5)就労・就学状況

7-3-2-4-8図は,調査対象者の本件非行時における就労・就学状況を日本人入院者と比べたものである。調査対象者は,日本人入院者と比べて無職の割合が著しく高い。


7-3-2-4-8図 就労・就学状況(構成比)
7-3-2-4-8図 就労・就学状況(構成比)
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