7-3-2-3-1図は,調査対象者の主たる非行名を日本人入院者と比べたものである。日本人入院者と比べて強盗の割合が高い。
調査対象者が本件非行に至った直接的な動機につき,想定できる31項目に類型設定し,そのうち,3人(調査対象者の2.9%)以上が該当した14項目の該当者の比率(複数回答による。なお,「その他」の項目は除く。)を示したのが7-3-2-3-2図である。該当者の比率は,「遊興費・酒代欲しさ」,「服従迎合」,「経済的困窮・生活苦」の順で高い。
動機を,経済的困窮・生活苦,債務返済といった「経済的困窮」と,遊興費・酒代欲しさ,対象物の所有・消費目的といった「利欲」とに区分した上で,主たる非行名が強盗又は財産犯(窃盗,詐欺及び横領・背任)の67人に限って見ると,「利欲」が55.2%,「経済的困窮」が13.4%,「利欲」と「経済的困窮」の両方が19.4%,両方なしが11.9%である。
7-3-2-3-3図は,調査対象者の共犯の有無及び人数を日本人入院者と比べたものである。日本人入院者と比べて共犯者がいる者の割合が高い。
次に,調査対象者の共犯者の国籍等を見たのが7-3-2-3-4図である。共犯に日本人が含まれる場合は約半数であり,調査対象者と同国籍等のみの場合は約4割である。
7-3-2-3-5図は,調査対象者の不良集団関係を見たものである。何らかの不良集団と関係していた者は約6割であり,その中でも,「地域の不良集団」や「暴走族」といった地域的つながりの深い不良集団と関係している者が大半を占める。これを出身地域別に見ると,何らかの不良集団と関係していた者は,ブラジルを除く南米(ペルー,コロンビア及びボリビア)では8割を超え,東南アジア(フィリピン,ベトナム及びタイ)では約6割,中国は約4割である。また,関係していた不良集団について構成員の日本人・外国人の組成状況を見ると,日本人中心の集団が46.0%,外国人中心が39.7%,両者の混成が12.7%である。
次に,共犯者がいる調査対象者(71人)について,共犯者との関係を見ると,「不良集団」,「遊び仲間」の場合がそれぞれ42.3%,45.1%(日本人入院者は,それぞれ19.1%,65.5%)となっており,相当の割合の者について,不良集団関係が本件非行の背景となっていることがうかがわれる。
7-3-2-3-6図は,調査対象者の過去の家庭裁判所による処分等(保護処分,不処分又は審判不開始)歴を見たものである。約7割の者に処分等歴が見られる。このうち,少年院送致歴がある者は,調査対象者では17.5%で,日本人入院者(18.8%)と同程度であった。