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平成25年版 犯罪白書 第7編/第2章/第1節/2

2 経済的側面及び情報流通におけるグローバル化

経済活動における物資や資本の流通の拡大については,まず,貿易額の推移を通じてその一端を見ることができる。我が国の輸出額は,平成5年には約40兆円であったが,19年をピークに約84兆円まで拡大し,その後,リーマンショック後の世界経済危機や東日本大震災,急激な円高等の影響により一時落ち込んだものの,24年には約64兆円まで回復し,20年間で約1.6倍に拡大した。一方,輸入額もほぼ同様の推移を示し,24年には約71兆円となり,5年(約27兆円)の約2.6倍に拡大した(財務省関税局の「貿易統計」による。)。

また,我が国の平成24年の対外直接投資額と対外証券投資額を見ると,対外直接投資額では流入が約8兆円,流出が約18兆円であり,対外証券投資額では流入が約193兆円,流出が約207兆円と大規模な金融・商取引等が国境を越えて行われている(財務省国際局の「国際収支状況」による。)。

グローバル化経済の活性化の効果をもたらすものとして,そのほかにODA(政府開発援助)がある。ODAは,政府又は政府の実施機関によって,又は国際機関を通じて開発途上国に供与されるもので,開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による公的資金を用いた協力である。平成23年(2011年)における我が国のODAの支出総額は,経済開発協力機構(OECD)開発援助委員会メンバーの23か国(当時)の中では米国に次いで世界第二位の1兆5,935億円であり,23か国全体の1割以上の規模に及び(OECDの資料による。),同年に我が国は,168か国・地域に対しODAによって贈与,借款等を供与した(外務省の「ODA白書」による。)。公的な資金は,民間企業と連携して,開発途上国のインフラ(経済社会基盤)や基礎生活分野の整備支援を内容とする開発途上国への投資を促進することにより,途上国の経済成長を促すとともに,我が国にとっても,技術移転,新たな産業や雇用,需要の創出等の多様な効果がもたらされている。

情報通信技術の進歩,とりわけインターネットは,グローバル化の促進に大きな役割を果たしており,今やほぼ全世界に浸透している。平成23年のG8ドーヴィル・サミットにおいても,インターネットが世界経済の成長をけん引する原動力であることが首脳間で確認された。我が国のインターネット利用者数は13年には約5,593万人であり,人口普及率は46.3%であったが,24年末には,利用者数は約9,652万人となり,人口普及率は79.5%に拡大した(総務省情報通信国際戦略局の「平成24年通信利用動向調査」による。)。