これまでの犯罪白書において,就労の重要性をたびたび指摘しており,平成21年版犯罪白書においても,窃盗事犯者及び覚せい剤事犯者を取り上げ,就労の不安定さが再犯リスクとなる,あるいはなり得ると述べている。女子においても,就労の確保や継続は再犯や再非行を抑制する要因となることがうかがえ(2-5-2-7図,3-2-5-6図及び6-5-1-3図参照),改めて,女子の再犯防止においても安定した就労の確保は極めて重要なものであることが確認できる。この点,入所受刑者及び少年院入院者の就労状況を見ると,男子と比べても,無職の比率が高く(6-4-1-8図及び3-2-4-5図参照),就労に向けた指導の必要性が見られる。また,先に述べたとおり,女子受刑者の中には,経済面で他者に依存した生活を送っていた者が多く見受けられるとの指摘もある。
一般社会においては,結婚や出産(子育て)等を想定したキャリアプラン,ライフプランを見据えた就労指導が広がりつつあるところ,少年及び若年者に多い覚せい剤事犯者を中心に,女子の犯罪者・非行少年の処遇においても,それらを参考に,短期視点と長期視点を持ち合わせた働き掛けが肝要と思われる。