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平成25年版 犯罪白書 第2編/第5章/第5節/2

2 更生保護施設

更生保護施設は,主に保護観察所から委託を受けて,住居がなかったり,頼るべき人がいなかったりなどの理由で直ちに自立することが難しい保護観察又は更生緊急保護の対象者を宿泊させ,食事を給するほか,就職援助,生活指導等を行う施設である。

平成25年4月1日現在,全国に104の施設があり,更生保護法人により101施設が運営されているほか,社会福祉法人,特定非営利活動法人及び社団法人により,それぞれ1施設が運営されている。その内訳は,男子施設90,女子施設7及び男女施設7である。収容定員の総計は2,340人であり,男子が成人1,845人と少年314人,女子が成人134人と少年47人である(法務省保護局の資料による。)。

各年の更生保護施設へ新たに委託を開始した人員の推移(最近20年間)は,2-5-5-3図のとおりである。


2-5-5-3図 更生保護施設への収容委託人員の推移
2-5-5-3図 更生保護施設への収容委託人員の推移
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平成24年度に更生保護施設から退所した者の退所先別構成比は,借家29.9%,就業先16.2%,親族・縁故者15.2%であった。退所時の職業別構成比は,労務作業が42.3%と最も多く,次いで,サービス業7.3%であり,無職は38.7%であった(法務省保護局の資料による。)。

更生保護施設では,生活技能訓練(SST),酒害・薬害教育等を取り入れるなど,処遇の強化に努めており,平成24年度においては,SSTが34施設,酒害・薬害教育が37施設で実施されている(法務省保護局の資料による。)。

また,平成21年度から,法務省及び厚生労働省が連携し,適当な帰住先がなく,かつ,高齢又は障害により直ちに自立することが困難である受刑者等に対する地域生活定着促進事業(23年度までの名称は,地域生活定着支援事業)を開始したが(本章第1節2項参照),この事業において,出所後直ちに福祉による支援を受けることが困難な者は,一旦更生保護施設において受け入れ,福祉への移行準備及び社会生活に適応するための指導や助言を行うこととなった。その役割を担うために指定された57の施設(指定更生保護施設)では,福祉の専門資格等を有する職員の配置や,バリアフリー等の必要な施設整備等を行っている。

さらに,平成25年度には,全国で5つの更生保護施設を薬物処遇重点実施更生保護施設として指定し,薬物事犯者に対して,重点的な処遇を実施する取組を開始した。