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1 刑法犯少年の罪種 非行少年問題を考察するについては,その量的傾向とともに,非行の質的な面からも考察を加えることが重要である。しこうして,犯罪少年については,この質的な面は罪種の検討によって一端をうかがうことができる。
昭和三九年の犯罪少年一九〇,四四二人について,その罪種をみると,そのうちの約五〇%にあたる九五,二一九人は窃盗であり,これについで傷害の一六,一二五人(八・五%),恐かつの一四,三八八(七・六%),暴行の一三,〇九七人(六・九%)という順序になっている。しこうして,これらの合計は,全体の約七三%に当る。 次に,主要罪種別に,全刑法犯検挙人員のなかで少年のしめる割合を検討することによって,どのような罪種が少年に比較的に多いか,または少いかを考察してみよう。 III-4表は,昭和三四年と三九年における主要罪種別に全刑法犯検挙人員に対する少年検挙人員の割合を示したものである。 III-4表 主要罪種別全刑法犯検挙人員に対する少年の割合(昭和34,39年) まず昭和三四年についてみると,全刑法犯検挙人員に対する少年の割合は,総数(すなわち平均)では二五・一%であるが,この平均を大幅に上回る罪種として強かん(五五%),恐かつ(五三・七%),強盗(四四・二%)および窃盗(三五・五%)がある。これに対して,平均をはるかに下回る罪種としては詐欺(七・四%),横領(一〇・二%),殺人(一四%)などがある。昭和三九年についてみても,この傾向はほぼ同様であって,平均割合は二八・一%であるが,これを上回る罪種は恐かつ(五八%),強かん(四九・九%),窃盗(四九・一%),強盗(四七・五%)などであり,平均をはるかに下回る罪種は,詐欺(七・一%),横領(九・九%),殺人(一四・二%)などである。したがって,少年に比較的多い罪種は恐かつ,強かん,窃盗,強盗などであり,比較的にすくない罪種は,詐欺,横領などであるといえる。次に,主要罪種別に最近六年間の刑法犯少年検挙人員の推移をみるとIII-5表のとおりである。 III-5表 主要罪種別少年刑法犯検挙人員と指数(昭和34〜39年) まず総数について,昭和三四年を基点(一〇〇)として昭和三九年までの指数をみると,逐年増加の傾向を示し,昭和三九年には一三六になっている。この平均を上回る増加を示している罪種をみると,窃盗,脅迫,わいせつであって,昭和三九年の指数はそれぞれ一四八,一四七,一四二と何れも相当の増加となっている。この他に暴行も増加の趨勢にあり,昭和三九年の指数は一二四となっている。また,前述した少年に比較的少ない詐欺,横領などの罪種は逐年減少の傾向にあり,昭和三九年の指数はそれぞれ六九,五九である。さらに,さきに少年に比較的に多い罪種であると述べたもののうち強盗,および強かんの最近の推移をみれば,年によって多少の変動はあるが,むしろ減少傾向が認められるように思われる。 |