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 昭和40年版 犯罪白書 第三編/第一章/二/3 

3 触法少年およびぐ犯少年等の推移

 触法少年またはぐ犯少年等として検挙され,または補導された者の最近六年間の推移を警察庁の統計でみるとIII-3表のとおりである。なお,犯罪統計については暗数の問題を考慮すべきことは前に述べたとおりであるが,触法少年およびぐ犯少年等の関係統計については,とくにこの点を念頭におく必要があるように思われる。

III-3表 触法およびぐ犯少年等の推移(昭和34〜39年)

 まず触法少年についてみると,昭和三四年は人員数で三八,八四三人であり,八才以上一四才未満の少年人口一,〇〇〇人に対する割合は三・〇であったが,昭和三九年には人員数で五〇,六二〇人,少年人口一,〇〇〇人に対する割合では四・五となっている。昭和三九年の状況をいいかえると,八才以上一四才未満の少年二二二人ごとに一人の割合で触法少年が存在するということになる。
 また,同じ表によってぐ犯少年等をみると,昭和三四年の人員数は,七九〇,一〇四人であり,八才以上二〇才未満の少年一,〇〇〇人に対する割合は三二・四であったが,昭和三九年には人員数において一,三二三,九八一人,右人口一,〇〇〇人当りの割合は五五・八と増加した。昭和三九年の状況は,八才以上二〇才未満の少年一八人ごとに一人の割合でぐ犯少年等が存在するということになる。
 しかしながら,念のために一言するが,右に述べた八才以上一四才未満の少年二二二人ごとに一人の割合で触法少年が存在するとか,八才以上二〇才未満の少年一八人に一人の割合でぐ犯少年等が存在するということは,ただちにこれを事実とするわけにはいかない。けだし,一人で何回も検挙されたり,また補導されたりする少年がありうると考えられるからである。
 次に,右に述べた触法少年,およびぐ犯少年等の検挙または補導人員の人口比による推移を,さきに述べた刑法犯少年および特別法犯少年の人口比による推移と対比して図示するとIII-3図のとおりである。これによると刑法犯の増加割合が最も小さく触法およびぐ犯少年等の増加割合が大きい。すなわち,ぐ犯少年等の場合,昭和三四年を基点(一〇〇)とすれば,昭和三九年の指数は一七二であり,六年間に七二%の増加となっている。他方,触法少年についてみれば人口比は一時急上昇したがその後はむしろ低下傾向に転じている。しかし昭和三九年には,やはり刑法犯少年よりも増加は大きく,昭和三四年を基点(一〇〇)とすれば,昭和三九年の指数は一五〇である。

III-3図 刑法犯,特別法犯,触法およびぐ犯少年等の人口比の推移(昭和34〜39年)