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平成24年版 犯罪白書 第7編/第4章/第2節/1

第2節 社会復帰支援における官民協働の現状と展望
1 保護司を巡る課題と今後の在り方

保護司は,保護観察官と共に,保護観察対象者の社会復帰支援の要であり,近年では,その役割が多様化し,その活動の重要性が増している。他方,保護司の高年齢化が進行している上(7-2-3-1図参照),充足率が低下傾向にある(7-2-3-3図参照)。特に,都市部等では,保護司の確保は深刻な問題となっている。これに対しては,近年,保護司候補者検討協議会による幅広い分野からの保護司候補者発掘の試みや更生保護サポートセンターの設置とこれを活用した取組等,保護司活動の基盤整備に向けた動きが始まっており,少しずつ実を結び始めているが,処遇困難ケースの増加や保護司活動の多様化等が背景となり,いまだ保護司確保の課題が解決されるには至っていない。保護司調査においては,専門的知識をもって処遇すべき対象者や複数の問題を抱える対象者への対応に困難を感じている保護司が多数に上った(7-3-1-4-3図参照)。複雑多様化する保護観察対象者の問題に対応して処遇を行う保護司の活動を支えるには,保護観察対象者の問題に対応できる関係機関との連携や民間団体の協力・参加が不可欠である。同調査によれば,保護司は,処遇の各場面で,関係機関・民間団体との連携が必要と感じながらも,連携は不十分と答えているほか(7-3-1-4-2図参照),関係機関・民間団体ごとの連携では,いずれの機関・団体についても,連携を取っているとした者が半数を下回った(7-3-1-4-1図参照)。こうした連携先のネットワークは,開拓の余地が認められるが,保護司個人の力だけで拡充することは容易ではない。更生保護サポートセンターを有効に活用するなどして,経験の長い保護司のネットワークや保護司会と地域社会のつながりを,それぞれの保護司の処遇活動に生かすことが望まれる。また,更生保護女性会やBBS会の活動の場を広げ,その活動を支援することで,更生保護関係者全体の活性化に努める必要もあろう。関係機関・民間団体との連携においては,保護観察官の役割も大きく,保護観察所による積極的な連携先の開拓・支援も求められる。ところで,保護司調査の対象となった保護司では,経験年数が5年前後の者の数が多い(7-3-1-2-3図参照)のに対し,経験年数が5年未満の者は,その半数が充実感を得られていないほか,その相当数が自身や家族の負担が大きいと感じていることが明らかになった(7-3-1-4-4図参照)。保護司がやりがいを持って,積極的な活動を展開できるようにするために,特に経験年数が比較的短い保護司に対するサポートを充実させる必要性がうかがわれた。また,経験年数の短い保護司は,年齢的にも職に就いていることが多く,活動時間の制約がある。この点,経験の長い保護司とはその置かれている状況が必ずしも一致しないが,こうした点に配意しつつ,メンタリングやチームによる処遇など,経験豊富な保護司との知識や経験の共有や保護観察官との連絡・連携体制の充実によるサポートが有効と思われる。保護観察官は,委嘱後早い段階で処遇活動の経験ができるように配慮することに加え,特に,経験年数が短い保護司に対しては,よりきめ細やかで充実した指導・連絡に努めるべきであり,保護司会では,地域処遇会議,保護司同士の意見交換・研修の推進や更生保護サポートセンターの積極的な活用が望まれる。これらを通じて保護司の負担を軽減することができれば,経験が浅い保護司も順調に経験を積むことが期待でき,さらに,新たな保護司のなり手の確保にもつながることになると考えられる。併せて,既に相応の実績を上げている新任保護司確保のための各種取組を着実に推進することが望まれる。