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平成24年版 犯罪白書 第7編/第4章/第2節/2

2 犯罪者等の特性に対応した処遇における連携上の課題と展望

薬物事犯者の処遇においては,官民合わせた多機関連携が進みつつあり,専門的な処遇プログラムの開発・運用,処遇の実施,出所後の社会内での指導や支援といったあらゆる場面で,大学・研究機関,薬物依存症リハビリテーション施設・自助グループ,精神保健福祉センター,医療機関等の様々な機関・団体が寄与している。また,断酒会等飲酒問題の団体との連携も進んでいる。ただし,犯罪・非行の背景には,このほかにもギャンブル,買い物依存等,し癖行動や依存症に関連する問題があるケースは多く,関連団体,自助グループ等との連携強化は今後も課題になると思われる。「再犯防止に向けた総合対策」においても,「対象者の特性に応じた指導及び支援を強化する」ことが重点施策とされており,指導及び支援における官民連携,多機関連携が加速化することが期待される。さらに,薬物事犯については,刑の一部の執行猶予制度を導入する法案が国会に提出されたが,同制度が導入されれば,薬物を断ち切る処遇を行うために,十分な保護観察期間が確保できるものの,その対象者数も多数に上ることが予想される。このため,官側の指導体制を強化するとともに,薬物依存症リハビリテーション施設や医療機関等,継続的な支援が可能な機関・団体との連携を強化し,実効性のある処遇を展開していくべきである。