総合法律支援法による総合的な支援体制の中核的な役割を果たすものとして,平成18年4月10日,法テラスが設立され,東京都に主たる事務所を置くほか,各地方裁判所本庁所在地等に事務所を置き,同年10月2日から業務を開始している。
法テラスは,関係する機関及び団体と連携・協力しながら,法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実強化業務,民事法律扶助業務,弁護士等を依頼することに困難がある司法過疎地域における法律事務に関する業務等を行い,刑事司法に関しては,犯罪被害者等の支援業務(第5編第2章第1節参照)及び国選弁護人の選任に関する業務等を行っている。
国選弁護人の選任に関する業務は,被疑者・被告人に国選弁護人を選任する必要がある場合に,裁判所の求めに応じ,法テラスと契約している弁護士(常勤弁護士を含む。)を国選弁護人の候補に指名して裁判所等に通知し,国選弁護人に選任された弁護士にその事務を行わせるというものである。平成23年度における国選弁護人選任の受理件数は,被疑者に関するものが7万3,209件(前年度比2,292件増)であったほか,被告人に関するものが6万7,374件(同2,260件減)であった。また,少年審判に関する国選付添人選任の受理件数は,469件(同46件増)であった(法テラスの資料による。)。
なお,法テラスは,東日本大震災への対応として,震災の混乱に乗じ被災地で発生している詐欺事件等に関する注意喚起をウェブサイトを通じて行うとともに,日本弁護士連合会等の関係機関との共催による電話相談並びに震災法テラスダイヤル(フリーダイヤル)及び新設した被災地出張所等を通じて,法制度や関係機関の情報を提供するほか,相続や相隣関係のトラブル等について弁護士による巡回無料法律相談等を実施して紛争の解決を図るなどの被災者支援を行っている。